「ひっくり返るほど嬉しかった」
「本というものの供給量が果てしなく多いこともあって、こちらは常日頃、『こんな本なんかを読んでくれてる人はこの世にいるのかね……』と、あきらめ感や空しさを抱えてます。そんな中で、『ここにいるよ!』と、読者という輝ける存在を知らしめてくださった20年前のつげさんのハガキは、こちらの気持ちをパアアアッと明るくしてくれるものでした。
だって、こんなハガキを書くのって面倒なことですから、そんな手間と時間をいただいて、その優しさにまず感動で、さらには、こちらの感謝をそのまま伝えた乱筆乱文のハガキを長い間、取っておいてくださって、もうひっくり返るほど嬉しかったです」(芝崎みゆきさん)
「読者がここにいるよ!」
約20年前、愛読者カードを書いてくれたつげさんに、「あなたさまのおかげで続編が出せるようになりました」と、感謝の気持ちを記した年賀状を送った芝崎先生。
実際、読者やファンからの反応は、作者の大きなモチベーションとなるだけでなく、「第三者である出版社の人が目にすることで、『ちゃんとこいつの本は読まれてるんだな』と、心に留めてもらえますから」と、芝崎先生は語る。
事実、今回つげさんのポストに対して、『古代エジプトうんちく図鑑』を過去に読んだ方々から、「すごく面白かった!」「芝崎先生の他の著書もおすすめ」といった声が殺到。
また、「ポチりました!」「子どもに買ってあげよう」といった声も多く見受けられた。
「本を書く者のおそらく多くは、誰かに読まれたくて読まれたくてしかたない、というあふれんばかりの気持ちがあり、でも読んでいただいたことを実感する術はないのですよね。
今回のように、読者ハガキやお手紙、またネットのレビューなどを目にして初めて、『いるんだ!』とホッとしたり、やったーっとなったりするのです。ですので、たまに気まぐれでぜひ読んでることを教えてくださると、こちらは歓喜に震えます」(芝崎みゆきさん)