tl_bnr_land

「残っている木だけでも守る」 京都「かやぶきの里」でクロマツ半数が枯れる→応援グッズで対策

京都新聞社 京都新聞社

 京都府南丹市美山町北の国重要伝統的建造物群保存地区「かやぶきの里」で、家ごとに植えられたクロマツをマツクイムシから守る対策が進んでいる。強風から屋根を保護し、家の繁栄を願う意味もあるが、数十年間で半数近くが枯れた。北村かやぶきの里保存会は、売り上げを景観保全に充てる「応援グッズ」の収益で今春、薬剤を注入。景観に不可欠な松を集落ぐるみで守る。

 クロマツは、多くの家が母屋の南側に植えた。集落の入り口側に当たり、棟よりも高く伸びた古木は来訪者の目を引いた。だが、マツクイムシによって徐々に枯れて伐採され、現在は32本になった。

 被害が広がり、葉が茶色くなってしまった大木や、枯れてから時間がたち、大半の枝が折れている古木が集落には散在している。

 残っているクロマツについて、被害防止を個人的に対策している家もあったが、景観になくてはならない存在として「残っている木だけでも守る」活動を集落全体で始めた。

 保存会は昨年から、集落内で営む「野田商店」で、住民がデザインした手拭いやポストカード、ステッカーなど、集落の維持に収益を使うグッズ約20種を用意している。

 売り上げを使った事業の第1弾として3月末、38万円かけてクロマツ21本の幹に樹木医が穴を開け、被害防止の薬剤を注入した。効果は約5年という。今後も必要に応じて処置を進める。

 保存会の新道尚美副会長(49)は「『頑張って』との気持ちで購入してもらえ、ありがたい。売り上げを形にできた」と話した。

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース