「ただの精神病持ちの引きこもりだったのが、学ぶことに若さを捧げると決めて、働いたお金で参考書を買って受験勉強を始めて、京都に行き着き、哲学に出会い、友人や先輩後輩に恵まれ、寺に住み込むようになり、今は学ぶことが面白くて仕方ない。学べることの喜びを噛み締める。もっと深くまで行きたい」
大学に通いながら、哲学を勉強されているunlightenmentさん(@reincarnationus)。
過去には精神を病み、不登校や引きこもりになってしまった経験もありながら、心機一転、大学受験に臨み、見事合格を果たします。
そして、大学に進学したunlightenmentさんに、運命を変える哲学とお寺との出会いが待っていました――。
感銘を受けた哲学との出会い
同志社大学の社会学部に入学したunlightenment さん。
進学した学部の通り、当初は社会学を学びたいと考えていたといいます。それは、自身の見ている社会と、他者が見ている社会との「ズレ」を考えてみたかった――という理由があったためでした。
ところが、2回生の冬、転機が訪れます。
ある日、unlightenment さんは、友人に哲学の読書会に誘われました。
それが哲学に触れる機会になったといいます。
当時は、非常に難しいと感じたものの、書物を読み進めていく中で、「俺がしたいのはこれだ」という漠然とした感覚が芽生えはじめます。学ぶのが楽しくなり、3回生になってからは、社会学と並行して独学で哲学を勉強するようになりました。
そして、同年の9月。ジョルジュ・バタイユというフランスの哲学者を知ることになります。
「彼の『内的体験』という著作のなかの『刑苦』の章を読んでいた時、涙が出ました。あまりにも自分のことを書いている、と直感したんですね」(unlightenment さん)
大きな感動を覚えたunlightenment さん。帰宅してバタイユについて調べてみると、偶然にもちょうどその日はバタイユの誕生日であったことを知りました。
以来、専門を哲学に変更することを決意、現在に至るといいます。
お寺に住み込み 寮生たちとの楽しい日々も
また、現在住んでいるお寺との出会いも、その延長線上にあるそうです。
バタイユを中心に哲学について学ぶにつれ、哲学関連のコミュニティや学生たちとの関わりも増えていきました。そんななかで出会った友人が、現在unlightmentさんが住んでいるお寺の元住人だったといいます。
「(友人が)就職で部屋を出るので、代わりに住まないかと誘ってくれました」
と、unlightenmentさん。バタイユとの出会いがなければ、寺とのご縁もなかったと思います――と語ります。
現在、unlightenmentさんは、そのお寺の一室に住みながら、哲学の勉強に励んでいるといいます。
「勉強が中心となって生活が組み立てられているとは思いますが、京都の学生生活も満喫しているなとは思います。朝まで麻雀を打ったり、鴨川で友人と缶ビールで乾杯したり、思い付きで大文字山に登ったり、闇鍋したり、野草で天ぷらを作ったり、バカなことも全力で楽しんでいます。
お寺の生活も規則が多いわけではないので、基本的には一人暮らしをしていた時と大差はないのですが、キッチンや縁側で同寮生としゃべったり一緒にご飯を食べたりするのは楽しいですね」(unlightenmentさん)
また、朝の早い時間などに、お寺の中を散歩するのも好きだというunlightenmentさん。「改めて本当に恵まれた場所に住ませていただいているなと思います」と話します。
このように、発達障害や精神障害の経験で苦労をしながらも、哲学やお寺との出会いもあり、現在はたくさんの仲間とともに楽しい大学生活を送っているunlightenmentさん。Xのリプ欄にも、たくさんの称賛の声があがっていました。
「素晴らしい人生になりましたね。僕も哲学を勉強するつもりです」
「いいなぁ私もたくさん本欲しい」
「学ぶこと、楽しいですよね」
◇ ◇
哲学の道に進むことを決めたunlightenmentさん。
ご自身にとって、哲学の魅力とは?
また、今後についてはどのように考えているのか?
シリーズ最終回では、その部分について掘り下げます。
さらに、苦しんだ過去を踏まえ、以前の自分と同じような状況になっている人に、一体どのような言葉をかけるのか――についてもおうかがいします。
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