「部活未亡人」という言葉を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。夫が部活(主に運動部)の顧問のために、休日でもほぼ部活で家にいない状態の妻のことを示しています。そんな限界を迎えた妻の様子のリアルを、漫画家のしろやぎ秋吾さんが描いた『家族より部活が大事な夫』がSNSで注目を集めています。
3歳の娘をワンオペで育てる妻は、子どもに早朝に起こされたり食事をひっくり返されてしまったりと、毎日を子どもに振り回されながら過ごしていました。小さい子は仕方ないと分かっていても「しんどい」と感じるのは子育てあるあるでしょう。
夫は中学校の教師をしており、部活の顧問として平日休日問わず仕事に出かけていることが多く、困ることやストレスを感じる事が多い妻は、そのことを職場で同僚に相談するのでした。
妻は「休日出勤なのに3000円しか手当が出ない」「平日だって勤務時間外に好きでやってることになってる」など、部活の顧問活動を精力的にこなす夫への不満をこぼします。この言葉に同僚は「旦那さんもホントはやりたくないんだね」とフォローするも、妻は「好きでやってるからよけいにハラたつの!」と、さらに怒りを乗せた愚痴を言うのでした。
普段、妻は子どものお迎えの為に仕事を早めに切り上げたり、子育てにすべてを捧げる一方で夫は部活にのめり込み家庭を顧みない日々を送っていることで、夫婦の溝が生じてしまったのです。そんなある日、妻は遂に我慢の限界を迎えます。
なんと夫は「来週土日で練習試合が入ったので約束していた家族での動物園は行けない」と言い出したのです。その日は娘の4歳の誕生日で、とても楽しみにしています。
妻がそれは困ると伝えるも「でも、山口さんがね~、いつもお世話になっているから断れないし」と、夫は悪びれない様子を見せました。その言葉をきっかけに妻は夫に離婚を切り出すのでした。
同作のコメント欄には「子供の誕生日はありえない」「家族なら自分の気持ちを理解してくれるはずだという甘えですよね」「自分も部活未亡人だった、思い出しても腹立つ」など170以上の共感の声が集まり、大きな話題になりました。
現役教師とその家族のリアルな実態を描いた同作について、作者のしろやぎ秋吾さんに話を聞きました。
部活未亡人をテーマに自身の経験と取材をして描いた
ー同作を描くきっかけをぜひ教えてください。
妻に「部活未亡人」をテーマに描いてほしいと熱烈に言われたのがきっかけだったと思います。
私自身も過去に学校で働いていた時に部活の引率で休日や連休を潰し続けてきたことがあったので、そのことを思い出しながら描きました。
ー制作にあたり先生への取材はどれくらいおこないましたか。
白兎先生の企画が固まる前に教員をしている友人に学校現場の問題点などを取材しました。
また管理職が抱えている問題や感情がよくわからなかったので、校長先生をされていた方にも取材させていただきました。
ーコメント欄では、教師の家族がいる読者からの体験談や共感の声が多く寄せられていました。印象的なものがあれば教えてください。
「残業が多いのは他の仕事も一緒」「教師だけがしんどいわけじゃない」「わかってて結婚したんだろ」とコメントが来ると思っていたので描き方が難しかったです。当事者の方からは実際に近いと共感の声をいただけて嬉しかったです。
ー最後に、読者にメッセージをお願いいたします。
いつも漫画を読んでいただきありがとうございます。もっと面白い漫画が描けるように頑張るのでまたみにきてください。
<しろやぎ秋吾さん関連情報>
▽同作の続きが読める書籍『白兎先生は働かない』(Amazon)
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