「原状回復」が難しいリフォームの要求は非現実的
さんかくさんにお話を伺ったところ、保護団体からのお迎えを断念した決定打はやはり、「キッチンの全面を柵で覆うこと」だったそうだ。
「動物を飼うことはお金がかかりますし、特に猫は脱走しやすいので、年収やおうちのチェックをされるのは決して気持ちが良いものではないですが、仕方ないのかなと思っていました。
我が家は夫婦共にフルタイム勤務ですが、幸いにも職場が近いため、お昼は家に帰ってることを伝えると、そこはフルタイム勤務でも容認してもらえました。すべての窓に柵をすることも本当は嫌だったのですが、100均のワイヤーネットでも作れると団体の人から教えてもらったので、どうにかしようと思っていました。しかし、キッチンを全て柵で覆うのは素人ではほぼ不可能であること。そして、当時はペット可の賃貸に住んでいたのですが、現状回復が難しい大掛かりな柵の設置は不可能だったため諦めました」(さんかくさん)
「犬猫を幸せにしたい」ための手段が極端になり過ぎているのでは?
愛護センターから迎えたさんかくさんちの子猫たちは現在、3歳。姉妹のように仲良く眠ったり戯れあったりしながら、元気に過ごしているという。
「お姉ちゃん猫はおっとりしていて、賢いけど食いしん坊で運動音痴なところが可愛いです。妹猫の方は運動神経抜群で、わがままなところが可愛いですね」(さんかくさん)
多くの命を救ってきたであろう保護団体に対しては、「敬意を表します」と、さんかくさん。
「しかしながら、“犬猫に幸せに暮らしてもらいたい”という目的を達成するための手段が極端になり過ぎているように感じます。例えば、猫や犬がキッチンに近づくのが危ないのであれば、刃物や生ゴミを出しっぱなしにしない、火元はチャイルドロックをかけておくなど、他の手段でも目的は果たせるのではないかと思います。キッチン全面を覆う柵の設置ような大規模なリフォームなどを求められてしまっては、ほとんどの人は応えられないのではないでしょうか。
そして、犬猫をお迎えしようとしている方には、ペットというよりも『家族』を迎えるという意識でいてほしいです。可愛いだけでなく、フード代と猫砂やトイレシート代だけではなく、たくさんのお世話やお金が必要なこと、いつかは介護も必要になることを忘れないでほしいです。自分も実家で飼っていた猫を看取ったことがありますが、病院代などもかなりかかりました」(さんかくさん)
保護団体は「無料のペットショップ」じゃない
保護団体からの譲渡条件の厳しさを嘆く声の一方で、「譲渡に際して用心深くなるのは仕方がない」といった声も多く寄せられた。
実際、保護猫・犬を迎えたものの、年齢や経済的な理由、アレルギーの発症、離婚や同棲解消などで飼育を放棄する里親も少なくなく、また、虐待目的で犬猫を引き取ろうとする心ない人間がいるのも事実だ。
「まじで虐待目的のゴミカス底辺みたいな貰い手もいるし、いい人でも年配だと孤独死の危険とかもあるしで、条件を厳しくせざるを得ないのは仕方ないのよね...」
「保護猫活動家を無料のペットショップだと勘違いしてる人、保護猫を引き取って平気で捨てる人もいるからなぁ。特に引き取り後の写真付きの報告は、捨てられたり虐待を受けてないかのチェックだと思う」
「保護猫団体でたまにお手伝いしてるけど、猫を脱走させちゃうおうちもポツポツあるんだよね。こちらとしては愛情かけて育てた我が子を里親に出してるから、絶対に幸せになってほしいのよ」
「大変な環境から保護した子に、今度こそ必ず絶対幸せになってほしいんだよね。また地獄をみせたくないのはわかる」