なんとなく始めたふるさと納税、「本当に得なの?」と疑問を感じた経験はありませんか?実は、税金の控除を受けられる寄付金の額には上限があり、これを超えた金額は自己負担となります。返礼品は受け取れますし、自治体への寄付にもなりますが、自己負担になってしまうと「損をした」と感じてしまうかもしれません。
ふるさと納税の仕組みを知れば、さらにお得に利用できる可能性があります。ふるさと納税で損をするケースをみてみましょう。
ふるさと納税で損をするケースとは?
ふるさと納税とは、実質2,000円の自己負担で、好きな自治体に返礼品をもらいながら税金の控除や還付が受けられる制度です。
ただし、寄付金が控除の上限額を超えると、その分は税金控除の対象外で寄付扱いとなります。例えば、控除上限額が5万円の方が7万円を寄付した場合、ふるさと納税の自己負担額は次のようになります。
2,000円+2万円(超過分)=2万2,000円
※2,000円はもともと自己負担
ふるさと納税で損をしないためには、制度の仕組みや控除上限額をきちんと理解して活用することが大切です。
ふるさと納税で損しないための3つのチェックポイント
ふるさと納税の予算を決める際のチェックポイントは次の3つです。
・世帯年収
・扶養家族の人数
・子供の年齢
寄付金の控除上限額は、上記の条件をもとに決まります。
子どもがいる場合は、16歳以上の扶養親族がいるかどうかで、ふるさと納税の控除上限額が変わります。特に19歳以上23歳未満の子どもがいる場合は、「特定扶養親族」に該当し、より大きな扶養控除が適用されるため、控除上限額が高くなる傾向にあります。また、中学生以下の子どもは扶養控除の対象外のため、控除額には影響しません。
ふるさと納税の控除上限額の具体例
ふるさと納税で税金の控除を受けられる寄付金の上限額は、年収や家族構成で変わります。なお、中学生以下の子どもは控除額に影響しないため、人数に入れません。夫婦と中学生以下の子ども2人の家庭は「夫婦のみ」で計算します。
例えば、総務省のサイトに記載されている表をもとにすると、ふるさと納税をする人の年収が500万円の場合、控除額の幅はおよそ2万8,000円〜6万1,000円になります。また、その他のモデルケースも簡単にみてみましょう。
◇
【世帯別モデルケース】
▽ケース①
夫(ふるさと納税をする人)の年収400万円・妻の年収202万円(配偶者(特別)控除なし)・子どもなしの場合
→控除の上限額:4万2,000円
▽ケース②
夫(ふるさと納税をする人)の年収600万円・妻の年収0万円・高校生の子ども(16歳~18歳の扶養親族)1人の場合
→控除の上限額:6万円
◇
ただし、上記のケースはあくまでも簡易的な参考例なので、詳しくは下記のリンクをもとに、ご自身の場合は控除額がいくらになるか確認してみてください。
▽総務省「ふるさと納税のしくみ」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html
なお、上記総務省のページ内に記載されている納税額の目安表は、医療費控除や住宅ローン控除など他の控除を受けていない給与所得者のケースです。医療費控除や住宅ローン控除など他の控除を受けている給与所得者の方や年金収入のみの方、事業者の方は、上記リンクに記載の表とは控除の上限額が変わる点に注意が必要です。
正確な控除額を把握するには、税理士や税務署に相談したり、国税庁の「所得控除額の計算シミュレーション」などを利用したりするとよいでしょう。
ふるさと納税は手続きしないと損をする
必要な手続きをしなければ、ふるさと納税で税金の控除は受けられません。また、ふるさと納税の利用者と納税者の名義が異なる場合も控除されないため注意しましょう。
ふるさと納税で税金の控除を受けるには、次のうちいずれかの手続きが必要です。
・ワンストップ特例申請
・確定申告
それぞれの制度についてみてみましょう。
▽ワンストップ特例制度
ワンストップ特例制度とは、確定申告をしなくてもふるさと納税の寄付金控除を受けられる制度のことです。次の条件を満たす方はワンストップ特例制度を利用できます。
・寄付先が1年間(1~12月)で5カ所以内
・給与所得のみで確定申告が不要
・医療費控除や住宅ローン控除などを受ける予定がない
ただし、寄付した自治体が5カ所以内であれば、寄付の回数は問いません。たとえば、1つの同じ自治体に複数回寄付しても利用できます。
【手続き方法】
返礼品とは別に、自治体から申請書が届きます。本人確認書類と合わせて提出しましょう。
寄付した自治体ごとに申告が必要で、翌年1月10日必着です。
自治体マイページに登録されている市町村は、オンライン申請も受け付けています。
参考:https://mypg.jp
▽確定申告
1年間で6カ所以上の自治体に寄付した場合や、給与所得者で副業の収入が年間20万円を超える場合などは、確定申告が必要です。ワンストップ特例制度の対象外であれば、確定申告での手続きが必要となります。確定申告は、確定申告書や寄付を証明する書類、源泉徴収票(年末調整済)などの必要書類を揃えて税務署へ申告します。なお、確定申告の場合、寄付した自治体の数に関わらずまとめて申告すればOKです。
書類の提出方法は、次のうちいずれかを選べます。
・直接持参
・郵送
・マイナポータル連携のe-Tax電子申告
受付期間は寄付した翌年の2月16日〜3月15日です。ワンストップ特例制度の申請期日を過ぎた場合も忘れずに手続きしましょう。
◇ ◇
ふるさと納税は、仕組みを正しく理解することでメリットを最大限に活かせる制度です。
一方で、税金の控除を受けられる寄付金の上限が状況によって変わり、必要な手続きを忘れてしまうと損をする場合もあります。事前に制度をしっかり把握し、ふるさと納税を賢く利用しましょう。
【監修】瀧澤亮(たきさわ・りょう)2級ファイナンシャル・プランニング技能士 Webライター・ディレクター。将来を見据え、保険や年金のことを詳しく知り活用したいとの思いからFP資格取得を決意。現在FP2級を取得し、上位級も勉強中。Webライター・ディレクターとして、お金に関する記事の執筆やディレクション・監修を担当している。