祖母が毎年警告「返事を返さなくなった山には近づかない」 怪談?…実は重要な注意喚起に反響

はやかわ リュウ はやかわ リュウ

怪談風の「新入社員へのアドバイス」がX(旧Twitter)上で大きな話題になった。さまざまなジャンルの「ちょっと怖い注意喚起」のポストが話題になる中、自身の祖母からの伝承をX(旧Twitter)に投稿した、マヌシロ。 (@_hukukaityou_)さん。

その怪談めいた”重要な注意喚起”は、2980万回以上表示され、7万6千以上のいいねがついた。

「山」が命を奪う前触れ

「ホラー…って程でもないけれど、祖母が雪の季節になると毎度、『返事を返さなくなった山には近付かないこと。山が命を奪う前触れだよ』と話していた」

「雪崩が起きる前の山はやけに音が響かなくなることがある、ということらしいが、いかんせん伝え方が怪談すぎるんだよな」

<マヌシロ。さんのX(旧Twitter)の投稿より>

マヌシロ。さんは続けて、音が響かないのはいわゆる「やまびこ」のことではなく、「どちらかと言うと『返事を返さなくなった山』=『自分の足音と獣の気配がしなくなった山』という意味合い。踏み鳴らしたはずの足音が自分の耳に返って来ない山は危険だという感じです」と、投稿。

Xには多くの反響が寄せられた。

怪談じみた「重大な注意喚起」

「おばあちゃんの言葉、理にかなってるけど言い回しが完全に“山の怪”なんよね」

「そういえば雪の日っていつのまにか音が消えてるよね。あれが山全体で起こったら不気味だな」

「新雪が積もり過ぎて、自然音とか自分や獣が発する音が吸収される量が多くなってるのを肌感レベルで認識してるってことかな。それぐらい雪があると雪庇の形成とかクラックとかも起こりやすい状態だと、生活の知恵として根付いてんのかも」

「科学的に見れば『雪崩前の静寂』って現象なんだろうけど、それを 『返事を返さなくなった山』って表現するのがもう怪談じみてて最高」

「子どもに言い聞かせるには怪談話がいちばんですよね。しかし、昔の人の感覚って研ぎ澄まされてたんだなと」

あらゆるものには「カムイ」(神)が宿ってる

マヌシロ。さんにお話を聞いたところ、「山が近くにある亡き祖母の家に遊びに行く度、いつも話してくれました。初めて聞いたのは私が5歳ぐらいの冬で、丘の上にある公園に行った時でした」と、振り返る。

「亡き祖母の口調は、”脅かしてやろう”というつもりは無さそうな語り口で、忠告の意味を含んだ民話を語るような雰囲気でした。『返事を返さなくなった山』というアニミズム的な表現を選んでいるのは、祖母がアイヌの家系だったからだと思います。自然界のあらゆるものにはカムイが宿ってる……みたいなあの信仰です。

祖母自身は幼かった私に、『これは雪崩の話だよ』といった説明はしなかったのですが、母や祖父、叔父や叔母たちが、『この話はね、静か過ぎる山は雪崩が起きるって意味だよ』と、いつも話の最後に説明をしてくれました。母を始め、祖母の子どもたちは幼い頃から祖母の様々な口伝を聞かされていたので、意味を理解していたのだと思います」(マヌシロ。さん)

「家族が危険な目に合わないように」

今回の反響を受けて、「祖母は既に亡くなっているため、今はもう祖母の話を聞くことは叶わないのですが、元気だった頃は雪の季節、特に雪が溶け始めて雪崩が起きやすい春先にいつもこの話をしてくれました。孫たちが危険な目に合わないように……という祈りも込めてくれていたんだろうと今は思います」と、マヌシロ。さん。

マヌシロ。さんの投稿に対するリプライには同様の、「怪談めいた重要な注意喚起」の話も多く寄せられた。

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