いまや水都・大阪の名物ともなっている道頓堀クルーズに今春、初の「ものまねクルーズ」(一本松海運、大阪市)が登場する。湊町船着場発着の2時間コースで1日2回。出演する6人のものまねタレントは、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんのそっくりさんで歌手の「ロンフーあつしさん」やミスチルのものまねで知られる「ヒルゾウ」らそうそうたる顔ぶれ。出航するのは4月12日、大阪・関西万博開幕の前日で万博で沸く大阪をより盛り上げようという試みだ。
水都・大阪ならではの様々な観光クルーズを走らせている「一本松海運株式会社」は今春に「ものまねクルーズ」を初運航することになった。これまで、2003年にスタートし、いまや大阪の風物詩のひとつとなっている「落語家と行くなにわ探検クルーズ」をはじめ「とんぼりリバークルーズ」「とんぼりリバーJAZZボート」といった企画船を実施してきたが、有名ものまねタレントがこぞって乗り込み、パフォーマンスを披露するのは初の試みだ。
主催する一本松海運は1915年に創業。近年は観光業にも力を入れてきた。企画制作、運営は株式会社ヴィーナス(古屋安弘)が手がけ、後援はmusubu8合同会社(木下睦子)。まずは一本松海運の足立勝則部長が切り出した。
「弊社が観光クルーズを始めたころは大阪の川には数隻の船会社しかありませんでした。それから20年経った今、10社以上が乱立し、しのぎを削っています。そこで大切になってくるのが他社との差別化。船自体の差別化はもちろん、船内でのコンテンツにも目を向けてきました」
今回、出演するものまねタレントは総勢6人の豪華版。ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんのそっくりさんで歌手の「ロンフーあつしさん」やサザンオールスターズ桑田佳祐さんのものまねで日本一になったこともある「みっちゃん」に、ミスターチルドレンのものまねで知られる「ヒルゾウ」、さらに「まゆまゆ」「YUYA」「シーナ」とそうそうたる顔ぶれだ。運営するヴィーナスの古屋安弘代表が言う。
「今年は大阪で2度目の万博もあり、日本全国、世界からもたくさんのお客さんが大阪にやってくるのは間違いなく、大阪の顔と言えば、やはり道頓堀。そこで今回、有名ものまねタレントさんを呼んで、ものまねクルーズと銘打ってお客さんに楽しんでもらい、より大阪を盛り上げようと思いました」
コースは湊町船着場(難波)を発着で道頓堀川を通過する際には浪速のシンボル、グリコの看板前で停泊。その後、東横堀川に入り、水門を通って大川へ。その後は源八橋の手前でUターンし、中央公会堂、大阪市役所を眺めてから再び道頓堀川へ引き返す流れ。所要時間は2時間となっている。なかでもハイライトはグリコの看板前でのパフォーマンスだろう。古屋さんが声のトーンを上げた。
「ものまねタレントさんにはクルーズの間に1人3曲から4曲披露してもらう予定で、グリコの看板前では船を5分ほど停め、より盛り上がってもらうという仕掛け。観光客や訪日客も驚くんじゃないでしょうか」
また、大川は大阪屈指の桜の名所として知られる。時期的に微妙ながら運が良ければ、満開の桜を愛でるまではいかなくても、散りゆく桜を眺めながら楽しい音楽を聴くことができるかもしれない。
運航船の「きらり」は66人乗りで内装は木目調。ガラス張りの屋根があるため、万が一雨が降った場合でも運航ができる。また客室昇降機能でフルオープンになり、川面を走る風を満喫できる。一本松海運によると、大阪の低い橋を通過できるようにと、潜水艦と同じバラスト機能がついており、船底のタンクに川の水を取り込み、船体自体を浮かせたり、沈めたりすることができ、視界が変わるのもお勧めポイントとのことだった。
「タレントさんが間近にいるのでステージ以上の臨場感や一体感が体験できると思っています。移動ステージは、道頓堀の景色とあいまって、きっと素晴らしいクルーズになると思っています」
定員は1回35名。チケットは1名につき8,800円(税込)。運航するのは4月12日。ということは大阪・関西万博の前日ということになる。一本松海運では「水都・大阪をさらに盛り上げていきたい」と話し、5月18日には関西のCMソング女王、高岡陽子さんらを招いた「歌姫クルーズ」を開催する計画だ。
◇予約・問い合わせ先 一本松海運株式会社 050(1807)4118