「災害救助犬」は引退後どうなるの?訓練や救助活動は苦痛?犬になぜ靴を履かせないの?人命を救う犬たちへのさまざまな疑問に救助犬団体が回答

はやかわ リュウ はやかわ リュウ

雪山以外での救助犬は「すっぽんぽん」

ーー雪山救助の訓練でかっこいい装備を身につけたHDS K9の救助犬、リッターくんの画像を見ました。

「ベルジアン・シェパードドッグ・マリノアのリッターくんがいちばん上に装着しているのは、防寒服ではなく『救助犬用のハーネス』です。救助活動でバギーに搭乗する際、ハンドラーの身体に犬を固定したり、ヘリによるホイストの訓練などで着用します。その下に着ているのが『ウェットスーツ』です。

寒さへの耐性は犬種や毛の厚さなどによって様々ですが、それ以外にも毛色や年齢にも左右されます。スーツなどの装備の内容は、犬種・毛色・年齢・その日の天候や活動内容などを考慮し、その犬の飼い主でもあるハンドラーが愛犬にとって最適と思われるものを選びます。暑い季節であれば、ウェットスーツを着せるかどうかもハンドラーさんの判断によります」

ーー犬は救助活動用の装備を嫌がらないの?

「基本的に捜索活動中の救助犬は安全のため、何も身につけません。しかし、移動手段や状況によっては、犬自身の命を守るために様々な装備を装着することがあります。嫌がらないように訓練しているので、装備を気にすることなく、普段と全く変わりはありません。

ハーネスは犬がバギーから振り落とされないために、ゴーグルは吹き付ける雪粒から眼球を守るために、ウェットスーツはシングルコートの犬の体温を保つために着用しています。ただ、これはあくまで雪上をバギーで移動する際の装備です。捜索活動時には必要ないため、雪山以外での犬たちはすっぽんぽんです(笑)」

なぜ犬に「靴」を履かせないの?

ーー危険物が散乱する被災地でなぜ犬に「靴」を履かせないの?

「過剰な装備は瓦礫等に引っかかるなど、かえって捜索活動の邪魔になったり、犬を危険にさらすことにもなり得ます。『作業靴』も同様で、日本の被災地に多い汚泥などでぬかるんだバランスの悪い場所を、センサーのような働きをする肉球と爪でグリップしながら移動する犬たちにとっては、竹馬で歩くような危険な状態になります。

その犬の飼い主でもあるハンドラーさんたちは、愛犬について24時間365日考えているその犬のことを知り尽くした“プロ”です。なので、皆さんの目に映った姿がその犬にとっての『正解』なのだと思います」

引退後の「救助犬」

ーー引退した「救助犬」はどうなるの?

「救助犬たちは普通のご家庭で飼われている愛犬たちです。もともと誰かを助ける目的で犬を飼い始めたのではなく、普通のご家庭の飼い主さんが、愛犬と一緒に始めた趣味が救助犬の訓練です。『救助犬の訓練』といっても、特別な公的機関でどうこうするものではなく、犬と一緒にする遊びの一環です。

なので、救助活動のない日と同じく、犬たちは引退後も普通の家庭犬として、飼い主さんの家で毎日のお散歩を楽しんだりして、のんびりと過ごします」

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