お部屋の中にタオルを敷いておくと、「自分仕様」に居心地のいいベッドを作り直すのが得意なロパーちゃんとマドンナちゃん。そして、こっそりそのベッドの影にエサを残して人が見えなくなったところで、コソコソ食べるかわいい素振りも。
見ているだけでほっこりさせる2匹ですが、実は今の生活をおくるようになる前は、想像を絶する劣悪な環境で過ごしていました。
80匹もの多頭飼育崩壊はどうして起こったか
ロパーちゃんとマドンナちゃんが過ごしていたのは、関東圏のとあるエリア。なんと狭いガレージを中心に、一時は80匹ものワンコが暮らしていたそうです。
満足なエサも与えられず、きちんとしたお世話も受けることなく、ひどいときはワンコ同士の共食いや子食いなどもあったとされます。
言葉を失いますが、どうして80匹もの多頭飼育崩壊に至ったかと言うと、遡ること10年以上前。飼い主さんが野良犬にエサをやるようになり、避妊・去勢手術するまでの費用がなかったため、結果的に80匹もの頭数になってしまった……という顛末でした。
今はかわいらしく映る「エサを隠して食べる」ロパーちゃんとマドンナちゃんの行動ですが、こんな劣悪な環境で生き抜くために得た知恵だったのかもしれません。
保護当初、人間への警戒心が強かった2匹
この多頭飼育崩壊に介入していた現地の活動家が立ち上がり、各所に保護の協力を呼びかけました。これに応じるカタチで現場からロパーちゃんとマドンナちゃんを含む8匹を引き取ったのが、三重県の一般社団法人動物保護団体わんらぶでした。
ロパーちゃんとマドンナちゃんを含む8匹は関東から三重県まで搬送されました。
当初のマドンナちゃんは人間に目を合わさず、心を閉ざしたままでした。そんなマドンナちゃんを始め他のワンコを守るように、人間を近づけさせないようにしていたのがロパーちゃんでした。
しかし、団体代表からの献身的なお世話を受け、ロパーちゃんもマドンナちゃんも日に日に心を開くようになり、団体のお家で笑顔を絶やさず冒頭のようにタオルを自分仕様にしてリラックスして過ごすようになりました。
里親募集を中止。2匹一緒に穏やかな晩年へ
ロパーちゃんとマドンナちゃんが、団体のもとで過ごすようになって早くも6年が過ぎました。この間、一緒に保護された6匹はそれぞれ縁が繋がり里親さんの元で幸せに暮らすようになりました。
もちろんロパーちゃんとマドンナちゃんとも「ずっとのお家」を見つけられるよう里親募集を出していましたが、特にマドンナちゃんは人間や他の動物に対する攻撃性が抜けず難航していました。
また、そんなマドンナちゃんに寄り添うロパーちゃんもシニアの域に達したこと、そして2匹がいつも仲良く過ごしていることなどを鑑みて里親募集を中止。「2匹ともずっと一緒に過ごしてほしい」と、団体のもとで家庭での生活練習をしながら生涯を過ごすことになりました。
今日も明るく穏やかに過ごすロパーちゃんとマドンナちゃん。この上なく幸せな環境で2匹一緒の晩年を過ごせることになって本当に良かったなと思いました。