夜空に突如現れ、尾を引いて輝く彗星(すいせい)。別名「ほうき星」とも呼ばれます。今回は、「彗星」とは何なのか、流星との違いや様々な有名な彗星について詳しくお伝えします。
彗星とは?
様々なアニメや映画作品にも印象的なシーンで度々登場する「彗星(すいせい)」。地球に衝突するかのように恐怖を感じさせる描写もあれば、美しく、神秘的な魅力を持つロマンティックなものとしての描写もあり、作品ごとに彗星の描かれ方は様々です。
そもそも彗星とは一体何なのでしょうか。実は、主に氷と塵(ちり)でできた小さな天体です。太陽系のはるか外縁、「オールトの雲」と呼ばれる領域や、海王星軌道の外側にある「カイパーベルト」に起源を持つと考えられています。
何らかの重力の影響で軌道が変わり、太陽に近づくと、太陽の熱で氷が蒸発し、ガスや塵を放出します。これが「コマ」と呼ばれる彗星の頭の部分と、太陽風によって流される「尾」を形成します。
彗星は別名「ほうき星」とも呼ばれますが、尾はイオンの尾(プラズマの尾)とダストの尾(塵の尾)の2種類があり、それぞれ異なる方向に伸びるのが特徴です。彗星は、太陽に近づくにつれて明るく、尾も長くなりますが、太陽から遠ざかるにつれて徐々に暗くなり、姿を消していきます。
彗星と流星の違いは?
彗星と流星は、混同されがちですが、全く異なる現象です。
彗星は、太陽系を公転する天体そのもののことですが、流星は、宇宙空間に漂う小さな塵(ちり)が地球の大気圏に突入し、高温になって発光する現象で、流れ星とも呼ばれます。
このように全く異なる現象ではあるものの、彗星が軌道上に残した塵が流星群の母体となることもあり、特定の時期に多くの流星が見られる流星群は、彗星と関連があると言えそうです。
有名な彗星いろいろ
歴史上、これまで数多くの彗星が観測されてきましたが、特に有名なものをいくつかご紹介します。
•ハレー彗星: 約76年周期で地球に接近する、最も有名な彗星です。歴史的な記録も豊富に残されており、次に地球に接近するのは2061年です。
•百武(ひゃくたけ)彗星: 1996年に非常に明るく、長い尾を見せて話題となりました。
•ヘール・ボップ彗星: 1997年に肉眼でもはっきりと観測できた大彗星で、世紀の大彗星とも呼ばれました。
•エンケ彗星:公転周期が約3.3年と非常に短く、太陽に最も近い彗星のひとつです。そのため、頻繁に観測されています。
•アイソン彗星:2013年に「大彗星」になることが期待されましたが、太陽に接近した際に崩壊してしまいました。
彗星を観察する際のポイント
彗星を観察するには、以下の点に注意しましょう。
いつ、どのあたりに彗星が現れるのか、事前に天文情報サイトや科学雑誌などで情報を集めておきましょう。観察する際は、街明かりの少ない、暗い場所での観察がおすすめです。肉眼でも見える彗星もありますが、双眼鏡や望遠鏡を使うと、より鮮明に彗星の姿を観察できます。 彗星の明るさや位置によっては、夜明け前や日没後が最適な観察時間となることもあります。事前に確認しておきましょう。
彗星は、いつ現れるか予測できないものも多いですが、その神秘的な姿は、宇宙のスケールの大きさを感じさせてくれます。ぜひ機会があれば、夜空を見上げて、彗星を眺めてみてはいかがでしょうか。