体質改善カウンセリング、妊活や腸活などをテーマにしたセミナー講師として活動する樋野真愉美さんは、フリーランスの管理栄養士だ。あまり耳にすることがない「フリーランス管理栄養士」の仕事とは? 具体的な業務や活動について話を聞いた。
妊活やダイエットほかアスリートの個別栄養指導まで
「管理栄養士」は、厚生労働大臣が免許を与える国家資格だ。病気を患っていたり高齢で食事が摂りづらくなっていたりする人、あるいは健康な人に合わせて専門的な知識と技術をもって栄養指導や栄養管理を行う。
有資格者は病院や給食センターなど、日常的に大量調理を行う施設に職を求めるケースが少なくないが、樋野さんは基本的に個人が対象だという。
「セミナーや交流会に呼んでいただいて喋ったり、オンラインでダイエット指導をしたりしています。初めは無料でセミナーやカウンセリングを行い、相手の方が自分に合いそうだと感じていただけたら、3カ月単位で有料の契約を結びます」
例えば妊活中の女性に対しては、栄養学的な見地からアプローチして妊娠しやすい体づくりをサポートする。「医師が行う妊活治療とは違うアプローチ」(樋野さん)なのが特長という。
ほかにも、アスリートが競技のパフォーマンスを上げるためだったり、痩せるためのダイエットではなく健康な体をつくることだったりすることにも効果が期待できるそうだ。
期待通りの良い結果が出た人とはその後も良好な人間関係ができ、別の人を紹介されて仕事の幅が広がる好循環を生んでいるという。
情報過多の今だからこそ基本は大事
樋野さんが行うセミナーの内容は、主として基礎栄養学。
「健康に関して調べると、今はいくらでも情報が出てきます。でも、それを取り入れた結果、日本って本当に病気が絶えないのですよ。体づくりってとてもシンプルで、栄養と水です。たとえばコラーゲンが体に良いと聞いたら、栄養を抜かしてコラーゲンだけを摂ってしまう。その結果、体を壊してしまいます。抜かすのではなくて、基礎中の基礎を大事にしています」
病気にならない人をつくりたいという樋野さん自身の健康法は「とにかく人とよく会って笑う。食事を共にすること」だそうだ。
「働いて頑張っている人ほど、仕事をしながら食べたり、食べながら仕事をしたりするんですよ。そうすると体が『食べた』と認識しません。だから食事の時間をわざわざ設けて、その間はスマホを見たり触ったりしないことです」
最後に、樋野さんが感じている仕事のやりがいを尋ねると「1人の笑顔を守ることで、その周りにいる人の笑顔も守れると思っています」という答えが返ってきた。
人生100年時代といわれる今、健康を持続するサポートは本人だけでなく、周りの人を救ったり笑顔にできたりもする。
「あたたかい活動だと、しみじみ思います」
樋野さんが知る限り、フリーランスの管理栄養士は数が少ないという。同じ資格をもっている人にも、この活動をぜひ勧めたいそうだ。
現在のクライアントは男女がほぼ同じ割合で、30代後半~40代が多い。今後は20代の人も重視していきたいという。睡眠の質が悪く疲れ切っている20代が多いので、そんな現状を変えていきたいとのことだった。
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