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子育てのイライラ! 実は自分のせいじゃない…どういうこと? 「責めないで」大学准教授が説くストレスと脳の仕組み

 子育て中に「いらいら」を経験する人は少なくない。理由は愛情不足でも不寛容でもないという。「生き物全般に起こる現象で決して自分のせいではない」と、島根大人間科学部人間科学科心理学コースの源健宏准教授(45)=認知神経科学=は説く。脳の仕組みを知ると「私のせいじゃない」と少しほっとするかも。いらいらの仕組みをひもといてみよう。

 自身も2児の子育てを経験してきた源准教授は「子育て中は『マルチタスキング』が常態化し、高い認知負荷がかかった状態が続きやすく、精神的な疲労が生じる」と注意を促す。

 マルチタスキングとは「メインの課題」と「別の課題」を同時に遂行すること。育児なら「子どもが危ないことをしないか監視しながら料理をする」ことなどが当てはまる。これに加え食事、入浴、就寝の時間を規則正しく進めなければならず時間に追われる。仕事の場合と比べても子どもの急な体調不良など予測が難しく、対応するうちに精神的にも削られる。

 さらに、源准教授によると生き物全般は「”目的・欲求”を阻害するものへの攻撃性が高まる」ことが分かっている。料理や洗濯、掃除といった家事を「目的」とすると完遂を阻害する事象、例えば子どものぐずり、危ないことをする、何かをこぼすなどが起こるたびに、現在取っている行動(家事)を中断し別の行動に切り替えなければならない。阻害するものに攻撃性を高め「いらいら」するのは当然で、切り替えにはより多くのエネルギーを消費。交感神経が強まり心拍も速くなることで、ストレスを感じるという。

 また、脳の「前部帯状回」という部分は「葛藤を感じる時に活動する」「行動を切り替える時に活動する」という二つの仮説があり、源准教授は「この部分が子育て中に活動する場面が多いのでは」とみる。

 子どもに関する問題が起こった時、「どちらかを選ぶ」という場面が頻発する。利益とリスクをてんびんにかけて判断を迫られる際、「前部帯状回」が活動して視床下部へ情報が流れ、ストレスホルモンが生まれてくるという仕組み。

 分かりやすい例では、仕事の日に子どもが発熱し、「欠勤するか、親族に預けるか、病児保育に預けるか」と悩む場面などが挙げられる。この悩みは二重、三重に重なることも多く、脳がプランニングを組み替える作業で「認知的負荷」がかかり続ける。

 ストレスホルモンは慢性的に出続けると神経細胞が壊れ、不安障害やうつにつながるとも言われている。「エンジンをかけ続けてオーバーヒートし、最終的には動かなくなるようなもの。いったんエンジンを切り、冷やす必要がある」と源准教授は言う。幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」を合成し直すには、睡眠など「落ち着いている状態を長く続けること」が必要になる。

 源准教授は「家事と育児は単調な繰り返しで、誰かに認めてもらえるわけでもない『修行』のようだと感じていた」と自身の子育て期を振り返る。「子育てをしている人たちはもっと評価されるべきで、まずは『自分がしていることは、ものすごく大変なことだ』と自覚し、自分を責めないでほしい」と呼びかける。

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