加湿器のメンテナンスを怠ることで、「加湿器肺」というアレルギー性の肺炎になるリスクが高まることをご存知ですか?今回は、加湿器肺について、そして適切な加湿器のメンテナンス方法についてお伝えします。
乾燥と風邪の関係
冬場になると加湿器を活用する方も多いと思いますが、乾燥対策だけでなく、風邪などの感染予防のためにも活用している方もいらっしゃるのではないでしょうか。一般的に、気温と湿度が低く、乾燥している環境では、風邪やインフルエンザなどのウイルスが生存しやすくなるといわれています。
ただ、湿度は高いほどよいというものではありません。
厚生労働省のホームページには、風邪やインフルエンザなどのウイルス対策のために、室内の湿度を50~60%にすることが効果的だと記載されています。湿度が65%を超えると、反対にカビが発生する可能性が高まるそうです。窓ガラスや壁に、結露が発生することもありますよね。風邪を防ぐためにもお部屋の加湿はとても重要ですが、メンテナンスを怠ってしまうと、この「カビ」が原因して逆効果になる恐れがあるので注意が必要です。
加湿器肺とは
加湿器のメンテナンスを怠ることで、ウイルス対策のために準備した加湿器によって、肺炎の一種である「加湿器肺」にかかってしまう可能性があります。加湿器肺は、加湿器の中にある水分で発育したカビなどを吸い込むことによって、肺でアレルギー反応を起こすことが原因だといわれています。
加湿器肺の症状として、以下が挙げられます。
・咳が出る
・発熱や全身倦怠感がある
・帰宅すると(加湿器を使用すると)体調が悪くなる
・抗生物質などが効かない
風邪の症状とも似ているように感じますが、帰宅後に咳がでる点や、抗生物質が効かないという点がポイントです。
加湿器のメンテナンスのポイント
加湿器肺にならないようにするには、とにかく、定期的な加湿器のメンテナンスが重要です。
ポイントはこちらです。
・タンクの水は必ず水道水を使う。
・タンクの水は継ぎ足さずに、毎回新しいものに変える。
・定期的に加湿器の内部を掃除する。
加湿器にミネラルウォーターや浄水器のお水を使ってはいけないという点は、知らなかった方もいるのではないでしょうか。実際、加湿器の各メーカーからも、水道水の使用をするよう呼びかけられています。
水道水には、雑菌の繁殖を防ぐために塩素処理がされているため、加湿器内の雑菌の繁殖を抑える効果があるといわれています。
加湿器の中でも、加熱するタイプである「スチーム式」と「ハイブリッド式」の加湿器は雑菌が繁殖しづらいため、加湿器肺の対策としてはおすすめです。ただ、どんな加湿器でもこまめなお手入れは欠かせません。適切な対策を心掛けましょう。
動画解説:工藤佳奈子
動画監修:せたがや内科・神経内科クリニック 久手堅司先生