焼き菓子や切り餅の袋に入っている「食べられません」とびっしり書かれた小さな袋。
一体なんの役割を果たすために入れられているのだろうか?脱酸素剤と書かれているが、生きるために必要な酸素を脱して一体どんな効果が?更に「こんなに食べられませんと書かれると逆に食べたくならない?食べたら一体どうなってしまうの?!」と疑問は尽きない。
「食べられません」の小袋…正式名称「エージレス」を製造する三菱ガス化学株式会社の広報担当者に聞いてみた。
◇ ◇
ーー脱酸素剤とは一体何なんですか?
担当者:鉄が錆びる時に酸素と結合する働きを応用して、食品等の密閉容器内の酸素を吸収する仕組みです。酸素は人間が生きていく上では欠かせないものですが、食品にとってはカビなど、さまざまな悪影響の原因となります。脱酸素剤を正しく使用することで、食品をおいしく安全に一定期間保存する効果が期待できる為、一緒に入っています。
ーー昔はシリカゲルが入っていたような気がするのですが、違いは?
担当者:シリカゲル等の乾燥剤は水分を吸収するもので、おせんべい、海苔、クッキー等の「パリッ」や「サクッ」とした食感を保持させたい食品で主に使用されています。脱酸素剤はカビ発生、変色、栄養素の低下といった食品にまつわる酸素起因の悪影響を防止・抑制する目的で焼き菓子、お餅その他幅広い用途で使用されています。
ーー脱酸素剤を入れているものと入れていないものでは、具体的にどれくらいの差が出ますか?
担当者:食品の品質に関する評価項目は食品メーカーが各社各様で定めていて一概には言えないのですが、フィナンシェやマドレーヌなど一般的な焼き菓子は脱酸素剤を使用しないと数日でカビが発生してしまう場合もあります。脱酸素剤を正しく使用することで数週間の品質保持効果を期待することが出来ます。
ーー「食べられません」とびっしり書いてあり少し怖いのですが…もし食べてしまったらどうなるんですか?
担当者:エージレスは食物ではないため食べられませんが、エージレスに使用されている原材料は公的機関による急性毒性試験で安全性が確認されています。内容物を誤って食べたり、食物と一緒に煮込んで食べた場合、特に異常がなければ特別な処置は必要ありません。ただし、小袋を丸ごと飲み込んだ場合は、食道や消化器官を傷つける恐れがあるため、医師の診断を受けていただくことをおすすめしています。
◇ ◇
とにかく食べたら危険な袋だと思っていたが、安全性が確認されているとのことで一安心。人間が生きるために必要な酸素は、カビなど微生物にも同じく必要。脱酸素剤は微生物の息の根をとめる、美味しさ保持のために必要不可欠な袋だった。
三菱ガス化学株式会社公式ホームページ:https://www.mgc.co.jp/
エージレス公式Xアカウント:https://x.com/mgc_ageless
エージレス一般消費者向けQ&A:https://www.mgc.co.jp/special/general-faq