家賃2万6千円、築50年の木造アパートに引っ越しました―。そんな文言とともに、X上に投稿された部屋の写真が注目を集めている。間取りは2DKで、ダイニングキッチン7畳と畳の部屋6畳、ユニットバス付き。住んでいるのは、大学院1年の男性(24)だ。畳の部屋にはこたつと座布団が置かれ、ブラウン管テレビにラジカセ…と昭和を彩るアイテムが並ぶ。本当に2000年生まれですか!?
ラジカセで聞くのは昭和の名曲
投稿したのは、愛知県在住のX名・べーたさん(@onecuprain)。祖父母の家の畳で寝転がるなど、子どもの頃から昔ながらの雰囲気が好きだったという。「昭和」を意識するようになったのは、大学で全国を一人旅するようになってから。「旅館の畳の匂いや柔らかさに包まれる時間が心地よく感じました」。今年の秋、大学を留年したことをきっかけに家賃の安い家を探し始め、今回の物件が見つかったという。
ブラウン管テレビ500円、書斎机8000円、スーパーファミコン、電動えんぴつ削り、やかん…。畳の部屋には、フリマアプリ「メルカリ」などで1万円以下で買った家具や小物が並ぶ。500円で購入したりんごの集荷用木箱「りんご箱」は、古本が並ぶ本棚として代用。ほのかなりんごの香も気に入っているという。1960年台に販売された「ナショナルアイロン」も現役で、友人の祖母から譲ってもらった。
「宿の写真を見返して、家庭的で安く手に入るものを選びました。カセット集めも趣味です」と大学院生。今は、1970~80年代に活躍した伝説のシンガーソングライター・森田童子さんのほか、吉田拓郎さん、河島英五さんなどを聞いているそう。ブラウン管テレビはパソコンと接続して古い日本の映画を見ているといい、「『男はつらいよ』なんかを流すと雰囲気が出ます」と笑う。
こたつで両親とだんらんも
12月上旬には両親が遊びに来て、大きなアルミ鍋で鍋を食べた。食後は父がラジカセで好きな曲を流し、母がほどけた枕カバーを縫ってくれた。「やっぱり親世代が似合うなと思いました。いい部屋だねと言ってもらえてうれしかったです」と話す。
でも、困ることはないの…?「スーパーが遠くなったことくらいですね」とひょうひょう。暖房が故障していて何もつけずに寝ているが、両親に買ってもらったはんてんを着ると暖かく、ぐっすり眠れるという。「まだこの暮らしに慣れきっていないので、本当の意味で日常になりたいなぁと思っています」