ライブハウスは、閉ざされた世界の中で非日常的な光景が繰り広げられる場所です。そこでは、ディープなイベントが行われることもしばしばあり、時には水着などのきわどい衣装で歌唱する女性シンガーが現れることもあります。
時代とともに過激な女性パフォーマーが多くなった理由は、単純に「集客が期待できるから」。演者たちはその点を理解して“敢えて”やっています。今の時代、みんなと同じことをしていても売れませんからね。
ニッチなグループや歌い手は口コミで動員が増えコアなファンを掴める傾向が強いので、話題作りのためにもギリギリのところを攻めます。一度は観てみたいという大衆の“怖いもの見たさ”的な心理を突くのがとにかくうまいのです。
そんな彼女たちを応援するファンは
・目新しいものが好き
・過激なパフォーマンスが好き
・正統派に飽きた
など、“普通”や“当たり前”にこだわっていない人が多いですね(笑)。
もちろん演者への下心があり、広い意味での刺激がほしくてディープな演者を推すファンも存在します。その他にも、色々な推し活を経た結果今までにない新鮮さを求めて過激パフォーマーに行きつく例も多かったりします。
歌い手が水着で路上ライブをしていたら大問題なものの、ライブハウスの中なら許容範囲。日常生活ではとても許されないようなステージングが味わえるのも、彼女らを推す醍醐味なのでしょう。
常に肌の露出面積が多い演者は、グラビアやセクシー女優デビューしそうに見えますが、可能性としては意外にも低いです。普段脱いでるからこそ次のステップはビデオ……ではなく、ラインを超えずに踏みとどまるからこそ注目を集められるのかもしれません。不思議なもので、思った通りのオチにたどり着くとファンは熱が冷めますから。
SNSでは過激なパフォーマンスを行う演者が批判され、炎上が起きることもあります。しかし筆者としては、こうした演者たちが法を守って活動している限り、問題視する必要はないのではないかと考えています。
昔からライブパフォーマンスがとんでもない人々は一定数いました。
ステージ上で火を吹く、客席に幼虫を投げる、「盛り上がらないなら帰れー!」と客を本気で追い出そうとするボーカル、急にフロアで肉を焼き始める謎演者などなど……。アンダーグラウンドなライブでは色々おこなわれていますので、ちょっと露出が激しいくらいなら表現の一種として捉えるべきではないでしょうか。
これらは見方を変えれば完全にサブカルチャー。批判は多けれど、ライブハウスだからこそできる非日常さが地下界隈を充実させるため、脱ぐ=お色気だけのレッテルを貼ってしまうのはちょっともったいないと地下好きな筆者は思うのでした。
◆たかなし亜妖(たかなし・あや)元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。