※本記事の一部には『ONE PIECE』コミックス109巻に未収録の情報がございます。ご了承ください。
週刊少年ジャンプ(集英社)の大人気マンガ『ONE PIECE』(作:尾田栄一郎)には、多くのキャラクターが登場し、それぞれが織りなす人間ドラマも魅力のひとつです。特に海賊船の雑用係から海軍本部の大佐にまで昇進した青年・コビーは、作中でも屈指の「成長した」キャラとして多くのファンに知られています。しかし物語のなかで急成長を遂げたキャラはコビーだけではありません。
例えば、麦わらの一味の狙撃手であるウソップは、初期には麦わらの一味のなかで最も臆病でネガティブな面が強調されていたキャラでした。しかしボーイン列島での2年間に及ぶ修行により特殊な植物で戦う力を手に入れたウソップは、射撃の腕にますます磨きをかけました。
さらにドレスローザ編では、敵であるドンキホーテ海賊団の幹部・シュガーを倒したことでシュガーの「ホビホビの実」の能力によってオモチャに変身させられた人々を救いました。このことがきっかけで、ウソップは“ゴッド”ウソップの異名を持つほどの人物となったのです。
また、ワノ国編で最重要キャラである光月モモの助も急成長キャラとして忘れられません。モモの助はワノ国の伝説の侍・光月おでんの息子で、初めて登場したパンクハザード編では泣いてばかりの頼りないキャラでした。その気弱さから、コミックス96巻第973話で父の仇であるカイドウの前で泣きじゃくり、カイドウから「ここまで幼いとは……」と失望される程…。
しかしルフィたちと共に闘いを続けるなかで急成長します。カイドウと対峙するため、自らも龍の姿になってカイドウに挑んだシーンはワノ国編でも屈指の名場面だといえるでしょう。
最終的にモモの助は家臣のひとり・しのぶの“ジュクジュクの実”の能力で、子供から立派な大人の姿へと変身しました。そして現在はワノ国の将軍として国の平和を守るために奮闘しています。モモの助の決断により鎖国を続けることにしたワノ国ですが、今後ワノ国が開国となった際は、再び彼がルフィたちの仲間となって大活躍するはずです。
最後はバルトロメオです。バルトロメオはバルトクラブ海賊団船長で、“バリバリの実”の能力者です。ルフィに憧れて暗黒街のボスから海賊になった人物で、ルフィのことを「ルフィ先輩」と呼び尊敬しています。初登場の際はふざけた態度から、“今最も消えて欲しい海賊No.1”として多くの人に嫌われていました。しかしルフィたち麦わらの一味の傘下に加わってからは、大きな成長を遂げています。
第1126話では、バルトロメオたちが“四皇”赤髪のシャンクスのナワバリに掲げられていた“赤髪”の海賊旗を燃やしたことから、直々に“ケジメ”を問われていました。その際、赤髪海賊団はバルトロメオを試すため「猛毒」を「一ヶ月以内に“麦わらのルフィ”に飲ませてこい」と命じます。
しかしバルトロメオはその毒を自ら飲み干すと「ルフィ先輩の“盃”も“旗”も!!おれだつ勝手に貰ったもんだ!!」とルフィを庇うために涙ながらに叫びました。結局その猛毒は偽物であり、バルトロメオたちは一旦は海に逃がしてもらえるものの、「ケジメはケジメ」としてヤソップに船を沈められてしまったのです。
現在バルトロメオの生死は不明となっていますが、初登場時の生意気な態度を考えると自分の命を犠牲にしてもルフィを守ろうとする筋の通った人間に成長していることがよくわかります。なんとか一命を取り留めて、ルフィたちの戦いの助っ人として活躍する日を待ち望んでいます。
このように『ONE PIECE』では急成長を遂げたキャラたちが物語に深みを与え、読者の共感を呼ぶ一因にもなっています。彼らがますます成長することを期待したいものです。