近年、住宅に侵入する強盗致傷事件が相次いで発生していますが、みなさんは「防犯対策」をしていますか。パナソニック株式会社(東京都港区)が実施した「防犯意識」に関する全国調査によると、防犯について「しっかり対策をしている」人が多い都道府県は「奈良県」、反対に防犯対策を「しようと思ったことがない」人が多いのは同率で「熊本県」「沖縄県」「千葉県」がそれぞれ1位となりました。
調査は、全国の20~60代の男女4700人を対象として、2024年9月にインターネットで実施されました。
まず、「現在、防犯対策はしていますか」と尋ねたところ、全体の69.1%が「対策している」(しっかり対策している15.3%、少し対策をしている53.8%)と回答したことがわかりました。
そこで、「しっかり防犯対策をしている」と答えた人が多い都道府県を調べた結果、1位「奈良県」(24.0%)、2位「東京都」(23.0%)、3位「京都府」(22.0%)という結果となりました。反対に、「まったく対策していない」「どちらかといえば対策していない」と答えた人が多い都道府県では、1位「鳥取県」(47.0%)、2位「熊本県」(42.0%)、3位「高知県」(39.0%)となっています。
続けて、「自宅の防犯対策をしようと思ったことがありますか」と尋ねたところ、「思ったことがある」と答えた人は77.2%、「ない」と答えた人は22.8%となりました。
「防犯対策をしようと思ったことがある」と答えた人が多い都道府県を調べた結果、1位「香川県」(87.0%)、2位「奈良県」(86.0%)、3位「群馬県」(85.0%)、反対に「思ったことはない」と答えた人が多い都道府県では、「熊本県」「沖縄県」「千葉県」(いずれも31.0%)が同率1位となっています。
なお、「沖縄県」の人口10万人当たりの刑法犯認知件数(※)を見ると、2023年には約620件発生しており、九州・沖縄エリアで福岡県に次いで2番目に多く、防犯対策の必要性が高いエリアであることから、防犯意識と実態のギャップがあることが明らかになりました。
地方に暮らしている3600人に「都会に比べて今住んでいるエリアは治安が良く安心して暮らせるエリアだと感じますか」と聞いたところ、84.1%が「感じる」(感じる34.8%、少し感じる49.3%)と回答。
「都会よりも治安が良い」と感じている人が多い都道府県を調べた結果、1位「秋田県」(49.0%)、2位「島根県」(44.0%)、「宮城県」(43.0%)がランクイン。しかし、「宮城県」の人口10万人当たりの刑法犯認知件数(※)は511件発生しており、北海道・東北エリアにおいてトップという現状から、ここでも意識と実態の差が浮き彫りとなりました。
次に、「防犯対策をしない理由」を尋ねたところ、「どんな対策をしてよいのかわからない」(53.7%)が最多に。そのほか、「近所の方の目があるので防犯の必要性を感じていない」(12.7%)という回答もみられ、この回答が1番多かったのは「沖縄県」(26.7%)、「広島県」(25.0%)、「岩手県」(23.5%)がTOP3となりました。
地方エリアは近隣住民同士の密接な関係性があることから、防犯に対する意識も都心部に比べると低い傾向にあることがうかがえます。
最後に、「過去3年間で、自宅や携帯電話に不審な電話や詐欺電話がかかってきたことがありますか」と聞いたところ、全体の55.3%が「ある」と回答。
特に多かったのは「新潟県」(71.1%)、次いで2位「山梨県」(69.0%)、3位「島根県」(65.0%)という結果から、不審な電話や詐欺電話は全国どこでも、誰にでもかかってくる可能性が高いことがうかがえる結果となりました。
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これらの調査結果を踏まえて防犯アドバイザーの佐々木成三氏は、「”田舎だから大丈夫”という考えは、もはや通用しません。治安がいいために街灯が少なかったり、防犯カメラが設置されていないという環境は、犯罪者にとっては犯行しやすい場所となり得ます」と指摘。
そのうえで、「実際、地方でも方言を巧みに使った詐欺や侵入強盗など、さまざまな犯罪が増加しています。都市部・地方を問わず、日頃から防犯の知識を身につけ、防犯機能付きの機器を活用するなど、『攻める防犯』を行うことが重要です」と述べています。
(※)出典:警察庁 刑法犯に関する統計資料 都道府県別人口10万人当たり刑法犯認知件数 2023年(令和5年)のデータを参照
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/jousei.html