滋賀で人気の観光名所、メタセコイア並木(高島市マキノ町)に新たなレジャーが誕生した。並木沿いを馬に乗って散歩したり、並木を背景に写真を撮ったりできる観光牧場だ。利用客が楽しむだけでなく、引退した競走馬の支援にもなるという。
この牧場は「メタセコイアと馬の森」。馬に関する社会事業を展開する「TCC Japan」(栗東市)が運営している。利用者はスタッフが引く馬に乗って並木脇を歩く。乗馬未経験の客も多い。以前は中央競馬で走っていたという10歳のネコビッチにまたがり、笑みがこぼれる。
「引退した競走馬が働いて生きていける環境づくりにチャレンジしている」。社長の山本高之さん(44)が力を込める。
同社は栗東市でホースシェルターを持っており、馬はまず引退の原因となったけがを治す。その後、障害がある子ども向けに同社が運営するホースセラピーや、全国の乗馬クラブや牧場で活躍しながら余生を過ごす。費用は競馬ファンら約2800人からの会費でまかなう。会員は馬の情報が載った季刊誌を受け取ったり、交流会に参加したりできる。
大勢の観光客が訪れるメタセコイア並木での乗馬は、馬の良さを知ってもらい、引退した競走馬の支援について伝える場として企画した。三重県からバイクのツーリングで訪れた会社員の男性(46)は以前から引退競走馬の存在は知っていたが、寄付はしたことがなかった。「偶然、支援のための乗馬があった。この子のご飯代になればと思って乗りました。自分も楽しめるのがいいですね」と笑顔を見せた。
年内には厩舎やカフェなどが入る建物も完成する予定。8~10分の「通常コース」が2千円、3、4分の「ショートコース」が1200円。ポニーなどにも乗れる(料金は異なる)。火・水曜休み。午前10時~11時半、午後1時~5時。天候や馬の健康状態などで変更になる可能性がある。