九州で英会話教室を営むAさんは、ママ友のBさんとよくランチにでかけていました。年齢も近いこともあり、お互いの家庭状況について情報交換をしてストレスを発散していたのです。お互いの子どもも高校生以上になり2人とも自由な時間が増えてきたこともあり、「ゆっくりと温泉旅行でも行きたいね」と話を楽しんでいました。
ある日、いつものようにAさんが待ち合わせの店にやってくると、そこには青白い顔をしたBさんの姿がありました。詳しく話を聞くと、実はBさんの夫の不倫が発覚し、今も口をきいていないといいます。しかも過去の不倫も白状し、今回が3度目だということがわかったそうです。
「不倫する夫なんてすぐに別れてしまいなさい!」とAさんは忠告するのですが、Bさんは離婚する意思はないようです。不倫イコール離婚だと考えていたAさんにとって、Bさんの考えは理解しがたいものでした。配偶者に不倫されたとしても離婚を選ばないということはあるのでしょうか。夫婦関係修復カウンセリング専門行政書士の木下雅子さんに話を聞きました。
ー配偶者に不倫をされても離婚しない人は多いのでしょうか
不倫をされても離婚を選ばない人の割合に関しては、さまざまな調査結果がでています。とある興信所の調査では、7割の人が離婚を選ばないという結果が出ています。
私は夫婦関係修復カウンセリングをおこなっているので当然ですが、私のところに相談に来る人は、配偶者に不倫をされても離婚せずに再構築したいという人が大半です。
世間的には男性の2人に1人、女性の3人に1人が不倫の経験があると答えています。それでも離婚をする人はそこまでの数ではないので、再構築を望む人も少なくないということでしょう。
ー不倫をされても離婚をしない理由にはどのようなものがありますか
結婚生活が長い夫婦ほど、再構築を望む傾向にあるように感じています。年齢を重ねるにつれて、子供の教育費や住宅ローンなどの経済面や将来の生活、周囲の目など気になることが増えてきて離婚を選びづらくなるのだと考えます。また今の生活に慣れているので、転職を伴うことや住宅環境を手放すのが惜しいという声もよく聞きます。
積極的に再構築を望むというよりは、離婚後のリスクを避けるために再構築をするという人が多いと感じています。
ー不倫を乗り越えて再構築される夫婦の特徴はどのようなものでしょうか
不倫をしたこと自体は許せないものの、相手にも良いところがあったなと認められる人は、夫婦改善しやすい傾向にあります。例えば子供にとっては良き親であり、仕事や家事を真面目にやってくれる人など。最初は消極的な理由での再構築であっても、相手の良いところを見ていくアプローチをすれば、結婚したころの相手を思い出し、良い所を思い出せるようになっていきます。
すると自分にも至らぬことがあったのかもしれないと考え、自分磨きをするようになるのです。相手にとっての良きパートナーとして、不倫されないくらい魅力的になろうと意識すると、行動が変わり相手からも見直されるようになっていくのです。
人を変えることはできないと認識し自分が変わろうとする人は、夫婦関係を改善させていくスピードが速いと感じています。
◆木下雅子(きのした・まさこ)行政書士、心理カウンセラー 大阪府高槻市を拠点に「夫婦関係修復カウンセリング」を主業務として活動。「法」と「心」の両面から、お客様を支えている。