京都市の無料Wi-Fi…便利だったのに終了 駅とバス停で提供も「財政状況を考慮」

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 京都市は、市バス停留所と地下鉄駅で提供してきた無料公衆無線LANサービス「KYOTO Wi―Fi(ワイファイ)」を10月から順次終了することを決めた。第5世代(5G)移動通信システムの普及などでアクセス数が近年激減し、財政難の中で、機器の更新に多額の費用がかかることが理由。通信環境が多様化する中、サービスを中止しても、観光客などへの影響は少ないと判断した。

 「KYOTO Wi―Fi」は、主に外国人観光客の受け入れ環境整備を図るため、市が2012年8月にサービスを開始した。現在は商業施設や飲食店、地下鉄駅、バス停留所など約2千のアクセススポットがある。

 アクセス数は19年度に823万回とピークを迎えたが、その後は年々減少し、23年度は181万回にまで減った。特に、市バス停留所は335万回から44万回に、地下鉄は127万回から22万回と減少率は8割を超えている。

 市は4Gや5Gといった高速通信網が普及したことや、ワイファイを独自で導入する民間施設が増えたことが要因とみている。ポケットワイファイや携帯電話に差し込むSIMカードなど、複数の通信機器を併用する外国人観光客が増えていることも要因という。

 サービス開始初期に整備した市バス停留所(231カ所)と地下鉄駅(31駅)は、機器の老朽化で更新する必要があり、更新には計約6500万円の費用がかかることが判明。さらに、機器の運用を担っていたKDDIなど3社は市バス停留所と地下鉄から撤退する方針で、独自に運用すると、年間約4千万円のランニングコストがかかるため、地下鉄は9月末、市バス停留所は来年3月末をもってサービスを終了することにした。

 商業施設など約1560カ所については当面、サービスを継続する予定。市観光MICE推進室は「利用状況と財政状況を考慮して判断した」としている。

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