「遠距離別居よりも、むしろ程よい距離感」「生活費も負担が軽く」築50年の家をフルリフォーム…三世帯同居のリアルとは

中瀬 えみ 中瀬 えみ

「二世帯同居」といえば、結婚した子ども世帯がその親世帯と同居するパターンを思い浮かべる方が多いでしょう。さらに、もう一つの世帯が加わる「三世帯同居」というスタイルについてご存じでしょうか? 単身世帯が増えるなか、あえて「三世帯同居」を選んだ理由は何だったのでしょうか。

三世帯同居のメリットデメリット

広いけれども古かった築50年超の木造住宅をフルリフォームをして「三世帯同居」をしているAさん(関西在住、40代、パート)。祖父母と自分の両親、そしてAさん夫婦とその子どもという三世帯でお住まいです。

リフォームでは三世帯が無理なく快適に暮らせるように工夫。高齢の祖父母のため玄関は幅を広くとって引き戸に。3世帯分設けたトイレは、手すりを付けたバリアフリー仕様も用意しています。子世帯用にダイニングキッチンとシャワールームを増設したほか、和室とふすまが多かった間取りを、防音と耐震補強も兼ねた仕切りを立てて洋室に変更しています。

しかし「二世帯同居でも大変と聞くのに、三世帯同居なんて考えられない」という方も多いでしょう。Aさんに三世帯同居のメリット&デメリットを聞きました。

【三世帯同居のメリット】

▽常に誰かが家にいてくれる
警報が出て突然下校することになった、急に熱が出て幼稚園に迎えに行かないといけない、という時に、三世帯もいれば「常に家にだれかはいる」という状態なので、仕事を抜けたり子どもを待たせたりすることなくお迎えに行けるのが助かりました。

▽食費や生活費でのメリット大きい
わが家は三世帯全部で10人の大家族です。日常の食卓は別ですが、お米やトイレットペーパー、牛乳や水など食品や日用品をコストコなどの大容量のお店や業務用通販で賄うと、結構差が大きいです。ストックの場所もすぐに3世帯で分けてしまえばそこまで必要じゃないですし、万が一足りないときは融通してもらえるし、コスト的に2割は負担が軽いと思います!

▽遠距離よりもむしろ程よい距離感
遠距離に家族がいる友人によると、年1、2回帰省することが義務になっていて、それが大きな負担になっていると聞いたことがあります。交通費だけで10万円以上かかりますし、なにより大切な休暇が潰れるのがもったいないと思いました。同居することで、月に1~2回夕食を一緒にとったり、日常的に子どもが遊びに行ったりすることはありますが、大げさなイベントがなくなる分、むしろ負担感は少なくなっている気がします。

【三世帯同居のデメリット】

▽家が大きい&珍しいので目立つ
三世帯が同じ敷地に同居しています。この辺りは郊外なので、もともと家の敷地も広いお宅は少なくないと思いますが、それでもやはり大きいことと、車も複数台停まっていて出入りの人数も多いので『ああ、〇〇にお住いの?』ってすぐにわかってしまう感じですね。珍しいのもあって目立ってしまう感じはあります。

▽なかなか意見がまとまらない
わが家の場合、三世帯それぞれが程よい距離感を保ちましょう、というタイプだからか大きなトラブルはないのですが、そのぶんお互い遠慮がちでたまに旅行にいきましょう、お祝いをしましょう、と言う時にそれぞれの予定や希望を譲りあっちゃってなかなか意見がまとまらず、そのうち大人数だからお店が取れなくて…なんて時はちょっと大変だなと思います。

   ◇   ◇

最後にAさんに「三世帯同居がうまくいくコツは?」と伺ったところ「物理的にそれだけの人数が快適に過ごせるスペースと、ひとりになりたいときは一人になれる空間と時間があるのが最低条件ですね!」とのこと。狭小住宅での三世帯同居は難しそうです…。

組み合わせ色々「三世帯」

ひとくちに「三世帯同居」といっても、実は色々な組み合わせパターンがあります。

【祖父母世帯+親世帯+子世帯】
最もイメージしやすいのが「おじいちゃんおばあちゃん+お父さんお母さん+成長して結婚した若い夫婦/就職して生計は一人立ちした子ども」というパターンではないでしょうか。昔ながらの大きな家に代々住んでいるようなイメージの三世帯です。

【親世帯+子世帯+子世帯】
次のパターンは「兄弟がそれぞれ結婚し、2つの子世帯と親世帯が同居する」というパターンです。子世帯の片方は独身で、親世帯に一緒に暮らしているというパターンは比較的イメージしやすいかもしれません。

【夫の親世帯+妻の親世帯+子世帯】
数は少ないものの、少子高齢化の影響で「将来の介護の心配の解決策」として考えたことがあるご家族もいらっしゃるのではないでしょうか。夫妻それぞれの親世帯を呼び寄せた三世帯同居です。

【親世帯+叔父・叔母世帯+子世帯】
「親世帯+子世帯+子世帯」がずっと同居を続け、残った2組の子世帯のさらに「次の世帯」が同居する形の三世帯です。

   ◇   ◇

世帯タイプの組み合わせと人数、土地の広さ、既存建物の有無と活用できるかなど、考慮するべき条件が普通の一戸建てよりに多くなるのが三世代同居用の住宅です。不動産情報サイトや住宅メーカー各社で「三世帯住宅」の実例で情報収集してみてはいかがでしょうか。

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