トイレは家族が毎日使う使用頻度の高い設備です。そのため、トイレの選び方や間取りを間違えてしまうと、ストレスを感じ、コスト面で大損してしまう可能性があるといいます。
そこで、同社社長の平松明展氏は「トイレの種類からトイレ選びのコツ」について以下のように解説しています。
【トイレの種類】
▽一体型トイレ
便器・タンク・便座のすべてが一体式のため、デザインに統一感があり、比較的掃除も簡単です。しかし、壊れた時にはすべて交換しなければならない可能性があるため、コスト面での負担は大きくなります。
▽分離型トイレ
便器・タンク・便座が組み合わさっているため、壊れた時はその部分だけ交換することができます。便座の交換であれば、ホームセンターで購入したものを自分で取り付けられます。
一体型トイレに比べ、交換コストを下げられるので、メンテナンス費を抑えたい方に向いています。しかし、組み合わさっているため隙間ができ、掃除の手間がかかります。そのため、掃除の手間や見た目にこだわる方は一体型トイレの方が良いでしょう。
▽タンクレストイレ
タンクがない分見た目がシンプルで、タンク付きに比べ奥行きも15cm程短いため、トイレの空間を広く使うことができ、掃除の手間も減ります。しかし、タンクに溜まった水を流すのと異なり、電気でトラップを回転させて水を流すため、停電になると使いづらいというデメリットがあります。さらに、一体型のため、便座が壊れただけでも基本的にまるごと交換になります。
▽手洗い付き・手洗いなしトイレ
一体型と分離型があります。手洗い付きのメリットは手が洗えることですが、そこで手を洗うことに抵抗がある方にとっては、掃除する手間が増えるだけなので、トイレの近くに洗面所を設ける場合は、手洗い付きトイレは避けた方が良いでしょう。手洗い付きはタンクが付いているため、水道直圧式のタンクレストイレに比べて、水の流れはスムーズで、停電時でも使えるというメリットがあります。
これらの違いから、一体型と分離型で費用は大きく変わります。一体型は、タンク付き・タンクなしに限らず、丸ごと交換しなければならない可能性があるのに対し、分離型は、おそらく壊れるのは便座くらいのため、便座交換費用の数万円で済んでしまいます。
【トイレの選び方のコツ】
▽トイレの数
トイレをいくつ設置するかは、重要なポイントです。家族の人数だけでなく、トイレに長居地しがちな人数と家の大きさ、トイレまでの距離に応じて考えましょう。
▽臭いや音を考慮する
トイレは臭いだけでなく音も気になります。臭いは、壁の素材がポイントです。ビニールクロスは、臭いが抜けにくいため、トイレ特有の臭いがしやすいですが、紙クロスや塗り壁は、湿気と一緒に臭いも飛んでくれるのでオススメです。
音は、距離とその間にある壁の重さによって減衰するため、リビングなど家族がいる居室から近づきすぎると音が気になり、お互いに気を遣ってしまいます。音を減らしたいけどリビングなどから近いところにトイレを設置したい場合は、断熱材を入れたり、防音になるよう壁を重くする施工をしたりすると良いです。
▽換気
トイレは換気も大事です。換気扇には、空気を取り入れる給気口と出す排気口があります。例えば、トイレが自然給気口で排気口がリビングにあると、自然吸気でトイレの中に入り、そこからリビングに排気される空気は何か臭う空気となってしまいます。
それから、家の素材で臭いが抜けることは結構あります。特に、WB工法(※1)の家は湿気と臭い、化学物質が抜けやすいです。このように抜けを考えて家づくりをすると、トイレの中でもトイレ臭がまったくしない家をつくることができます。
(※)WB工法(二重通気:W Breath)壁の中を空気が流れる仕組みになっているため、通気性が高く室内の空気が常にきれいな状態に保たれ、湿気も溜まらないため結露しにくくなり、家が長持ちするようになります。
【広さと収納】
一般的にトイレは狭い空間のため、トイレットペーパーや掃除用具などの収納棚がほしい場所です。そこで、壁に埋め込み式の収納棚(図1)を作ることができます。この収納棚の奥行きは10~12cmで、壁の中に埋め込んで扉を付けています。
しかし、耐力壁(※)が施工されていると切り抜くことはできず、反対側に付けるなど様々な工夫が必要になるため、事前に確認しておくと良いでしょう。その他にも、トイレの幅や奥行きを少し増やし、下が収納棚のカウンター(図2)を設けることもできます。
(※)耐力壁(たいりょくかべ/たいりょくへき)とは、地震や風などの横からの力がかかった時に、建物を垂直に保つ能力を持つ壁のこと。
【間取り】
トイレにオススメの間取りを紹介します。
1つ目は、リビングの横(図3)。廊下を介しているため、リビングにいる家族に気を遣わなくて済むような位置関係に設置します。
2つ目は、洗面台の横(図4)。トイレ・洗面台・脱衣室・浴室などの水回りはある程度まとまっていると使いやすいです。
3つ目は、階段下(図5)。ここにトイレを作ると、階段下を有効活用できるため、本来トイレを設置する予定だった場所を収納スペースにしたり、居室を大きくしたりすることができます。そのため、なるべくコンパクトで無駄のない間取りをしたい場合は、階段下にトイレを設置するのもオススメです。
但し、階段の段による圧迫感があり、奥に行けば行くほど天井が低くなるため、壁をふかして(※)トイレを前に出すなど、高さを調整してバランスを取るようにしましょう。
(※)ふかすとは、仕上げ面を所定の寸歩よりも前に出すこと。
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【出典】
▽平松建築株式会社 調べ