熱戦が続く2024年パリオリンピック。世界中がアスリートの躍動に胸を熱くしていますが、現地では「パリおにぎり」なるものが人気とか。
美食の国では日本食が流行中。日本では定番のおにぎりに、フレンチ風具材を使ってアレンジしたのが「パリおにぎり」なのです。
ただし、日本のおにぎりがブームになったフランスよりも先に浸透したのがアジア地域。セブン-イレブンやファミリーマートが進出した各国で主力商品「おにぎり」が展開され、中華圏では「飯糰」の名で親しまれるようになりました。
具材は各国ともに独特。香港と台湾のセブン-イレブンで食べ比べしました。
蟹ペーストおにぎり
まずは香港のセブン-イレブンのおにぎりから紹介します。
香港では100店舗以上を展開するおにぎり専門店チェーンがあるなど、おにぎりおよび和食が大人気。この支持を受けてか、2024年4月には香港のセブン-イレブンのおにぎりのラインナップを刷新し、「和」に歩み寄った新しい具材を展開しています。
このうち、「紅雪蟹豪飯飯糰」は、漢字から想像できる通り、クリーミーな紅ズワイガニペーストが入ったもの。実際に口にすると、蟹の風味は薄いものの、蟹味噌を模したかのような複雑な味わいでした。日本人がイメージする蟹とはやや異なるもので、食後の感想は正直なところ「美味しいのか美味しくないのか、よくわからない」でした。
魚の風味を全く感じない
そして、同じく香港のセブン-イレブンの「醤油三文魚腩」も食べてみました。三文魚は鮭のことを指し、定番おにぎりを意識したものだとわかります。ただし、その中身はいわゆる日本の鮭のおにぎりとはまるで違うものでした。
お米に醤油ダレがビッシリ和えられており、握るとタレの油でポロポロこぼれてきます。また、確かに鮭を使っているのですが、あの独特の風味は香港人にはウケないのか、魚の感じを排した印象で、全体的にはかなりコッテリ。日本のおにぎりとはまるで違うものの、前述の「紅雪蟹豪飯飯糰」よりは美味しかったです。
おにぎりになったガパオに目から鱗
台湾のセブン-イレブンのおにぎりにもトライしました。
日本とゆかり深く和食も多くある台湾ですが、独自アレンジや新提案にも余念がありません。初めて見たのが「泰式打拋豬」というおにぎりでした。
台湾で人気の「頌丹樂」というタイ料理チェーンとのコラボ商品で、その中身はいわゆるガパオ。タイの定番ごはんのガパオがおにぎりに合わないはずがなく、これが絶品。暑い台湾の気候ともマッチしていました。
海老かと思いきやザリガニ
台湾ではセブン-イレブンの「海鮮小龍蝦飯糰」を食しました。
漢字から「具材は海老かな」と予想しましたが、マヨネーズなどで和えたザリガニの身が具材でした。
小龍蝦はザリガニ。中華圏でよく使われ、見た目も海老に近い食用ザリガニです。もちろん臭みも全くなく、食感・風味・味わいは海老そのもの。マヨネーズとの相性も抜群で、これまた美味しくいただきました。
中国でもおにぎりを食べようとしたが…
中国に立ち寄る機会もあり、中国のおにぎりも食べてみようと「セブン-イレブン」を探しましたが、筆者が訪れた場所には写真のような「セブン+」というコンビニしかなくおにぎりは売っていませんでした。
各国でおにぎりが自由にアレンジされていることは、発祥の国として何だかうれしくなりました。話題の「パリおにぎり」だけでなく、お米を食べる国で様々なおにぎりが考案され、いつか日本で紹介されるーそんな食文化交流が楽しみです。