市民が乗れない京都市バス、夜でも「遅延」「混雑」の理由とは?…「運転士さんが気の毒」

はやかわ リュウ はやかわ リュウ

不足する「バス運転士」への負担増加も「観光混雑」による課題のひとつ

京都市交通局では現在、ハイシーズンを中心に、「京都駅」や「金閣寺道」などの訪日客が集中するバス停に「案内人」を配置したり、注意喚起の看板などを設置。また、市バスの入り口には、日本語・英語・中国語で書かれた「大型手荷物のバス車内持ち込み禁止」を訴える注意喚起のステッカーを貼るなど、混雑緩和の対策を行なっている。

「あくまでも私が見た印象ですが、少なくとも昼間の大型手荷物の持ち込みは大きく減少しており、ステッカーや掲示物による注意喚起には一定の効果があると考えています。観光の魅力のひとつとして、”自身の居住地と異なる文化を体験する点”があります。そこでは、異なる文化に対する敬意や理解と尊重が求められるでしょう。しかし、なかにはそのような視点を無視する方も一定おられます。

そういう方々はどのような注意喚起をしてもそれらに気づこうとしないでしょう。大型手荷物の持ち込みやその他の課題について、種々の対応策はあるけれども、これ以上、現場の運転士さんの負担を増やすことはできるだけ避けていただけることを願います。バス運転士さんたちの負担の増加も、観光混雑による課題のひとつですので」(井上学さん)

訪日客の「数」よりも、文化を尊重できる方々を歓迎する方向にかじ取りを!

円安効果で急増したインバウンド客による「オーバーツーリズム」は、京都に限らず全国各地で問題視されている。だが観光庁は、「訪日外国人旅行消費額5兆円」の早期実現を目指し、2025年にはさらなる数の「インバウンド客」を呼び込む計画だ。

「新幹線や特急はるかなど、今後は京都に行くまでの道中で、大型荷物の持ち込みに限らず京都観光モラル(https://www.moral.kyokanko.or.jp/for-tourist)等を発信することを望みます。また観光庁には、訪日外国人観光客について『数』を求めるのではなく、国内の文化に対して敬意を払い、理解と尊重される方を歓迎する方向に強いかじ取りを期待しています。

数のみの増加では、当該地が観光客に迎合したテーマパークの街に変化する可能性が高まります。これまで地域住民が作り上げてきた文化の破壊とも考えられ、これもオーバーツーリズムのひとつと言えるでしょう。オーバーツーリズムと言えば混雑ばかりが注目されますが、文化の破壊が大きな課題である点も、多くの方々に理解いただけると嬉しく思います」(井上学さん)

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