大きな人影が虹色をまとう「ブロッケン現象」とは?出会えるタイミングや名前の由来

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雲や霧の中で、大きな人影が虹色をまとう「ブロッケン現象」という気象現象が発生することがあります。「ブロッケン現象」の発生の仕組みや出会えるタイミング、名前の由来などについてまとめました。


「ブロッケン現象」とは

「ブロッケン現象」とは、雲や霧の中にまるで妖怪のような大きな人影が映り、人影の周りに虹色の輪ができる現象です。

「ブロッケン現象」は、山に登った時や飛行機から見られることが多く、ドイツのブロッケン山でよく見られたことにちなんで「ブロッケン現象」と名付けられました。ヨーロッパでは、不吉なものとして「ブロッケンの妖怪」と恐れられてきたようです。

一方、日本では全くその逆で、「御来迎(ごらいごう)」つまり、阿弥陀如来の出現とされました。虹色の光を背負う大きな人影が、後光が差す阿弥陀如来のように見え、縁起の良いものとして、とらえられたようです。
山岳愛好家の間では、登山中に出会ってみたい気象現象の1つとも言われています。


「ブロッケン現象」発生の仕組み

「ブロッケン現象」の発生の仕組みは、太陽や月の周りに虹色の環が見える光環と同じで、光の回折が関係しています。
太陽を背にした際、背後から光が差し込む影響で、自分の正面にある水滴や霧、雲の粒に当たった太陽の光が散乱されると、自分の人影が大きく映し出され、人影のまわりに幻想的な虹色の輪が発生します。
太陽の光は白っぽく見えますが、実は様々な色の光が集まっています。波長の長い方から赤、橙、黄、緑、青、藍、紫と7色あり、雲や霧などの小さな水滴の粒に当たると、屈折の角度の違いから7色の虹色に分けられます。
太陽の光が霧や雲の粒を回り込んで虹色に分けられることを回折と言います。「ブロッケン現象」は、山から見る場合は自分を起点に、飛行機から見る時は飛行機を起点に太陽が後ろから差し込んだ際に見られる現象なので、自分や飛行機を中心に虹色の環ができます。


「ブロッケン現象」 に出会えるタイミングは

山に登った時や飛行機に乗った時に条件が揃えば、ブロッケン現象に出会えるチャンスがあります。
太陽と反対側にブロッケン現象が発生するため、時間帯でいえば太陽高度の比較的低い朝や夕方が見られるチャンスが多くなります。山の場合は、自分より下の方に霧や雲を見下ろせば、昼前後でも見られることがあります。

また、川でもブロッケン現象が発生することがあります。福島県南会津郡を流れる只見川では、夏季に田子倉発電所近くの只見川の橋に立つとブロッケン現象がみられることがあります。只見川の冷たい水面に川霧が立つことによりブロッケン現象が発生し、条件が揃えば日本の色々な川など、平地でも見られることがあるようです。
是非、これらの条件を覚えておいて、登山や旅行などの際にブロッケン現象に出会ってみてください。

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