「なんか変なものが入っている!?」食材に“異物”が混入していたら…購入者は慰謝料をもらうことができるのか【弁護士が解説】

長澤 芳子 長澤 芳子

敷島製パン株式会社が、2024年5月21日に公式サイトで「お詫びと経過のご報告」を公表しました。内容はパスコ東京多摩工場で発生した商品への異物混入に関するもので、対象商品の回収を呼びかけています。

敷島製パン株式会社のケース以外にも、さまざまな会社による異物混入のニュースを目にする機会があるでしょう。では実際に購入した商品に異物が混入していた場合、慰謝料を請求できるのでしょうか。また、過去に慰謝料が支払われたケースはあるのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに詳しく聞いてみました。

ー異物が混入していた場合、慰謝料の請求はできるのでしょうか

混入していただけで慰謝料を請求するのは難しいと思います。そもそも慰謝料は、相手から不法な扱いを受けた場合に生じた精神的損害に対する賠償として支払われる金銭です。購入したものに異物が入っていただけでは、実害が無いため精神的苦痛は発生していないと考えられるのが一般的です。

ただし誤って異物を食べてしまって腹痛などの実害が生じた場合には、その実害による精神的苦痛が認められ慰謝料が支払われることもあります。また結婚式などの重要なイベントで異物混入が原因で台無しになってしまうと、精神的苦痛が認められ慰謝料を支払われる場合もあります。

ー異物混入について裁判で判断されたケースはありますか

異物混入による消費者の慰謝料請求に関する判例は、決して多くはありません。例えば、2020年1月15日に東京高等裁判所の判決では、総菜の中に入っていた骨片で口の中をケガをしたとして損害賠償を請求した訴えが棄却されています。一方で1999年6月30日の名古屋地方裁判所の判決では、ジュースの中に入っていた異物により口内をケガしたとした訴えが認められています。

前者は総菜のなかにベーコンビッツが入っていたことから、骨片を完全に除去することは不可避であるため、製造者に責任は無いとされました。後者は、製造工程で異物が混入する可能性が否定できないとして、安全性を欠いていたと判断されています。

異物混入に関しては裁判になることが少なく、仮に裁判になったとしても和解で成立することが多いです。

ただ、人体に重大な被害が及んだ場合には、企業が多額の賠償金を支払ったケースもあります。例えば、生卵に付着していたサルモネラ菌による食中毒によって死亡した件で、宮崎地裁延岡支部は養鶏事業組合に4500万円の賠償金を支払うよう命じています。また、花火大会の露店で購入した冷やしきゅうりを食べた人たちが、O-157に感染し集団食中毒が発生した件では、35人に対して総額1167万円の賠償金の支払を露店経営者に対して命じられています。

◆北村真一(きたむら・しんいち)弁護士 「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないといわれる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。

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