貫禄ある体格でもまだ子犬 個性的ルックスの野犬はスクスク成長 「うちにおいでよ」と一目ぼれされた

松田 義人 松田 義人

茨城県茨城町は野犬が多く暮らすことで知られた地域です。おおむねどのワンコも「つぶらな瞳の大型犬」です。

この地域で生まれた濃い血筋のはずなのに、シェーペイのようなチャウチャウのようなルックスのメスの子犬が茨城県動物指導センターに収容されました。名前はチッパー。個性的な顔、太い足、ズングリムックリなプロポーションとなかなかの貫禄ですが、実は生後約2カ月ほどの子犬。一度見たら忘れない、独特のかわいさを持っています。

予定外にしてチッパーを連れ帰った団体ボランティア

保護団体のDelacroix Dog Ranch(以下、DDランチ)のボランティアさんはセンターを訪れた際に、チッパーと対面し一目惚れ。「こんなに個性的でかわいいワンコはいない」と予定外の引き出しを決定。チッパーを連れて帰ることにしました。

しかし、チッパーは警戒心が強くガウガウと唸ります。顔だけを見ると身構えますが、よくよく考えればメスの子犬。信頼関係を築けば、必ず良い子になってくれると確信し、里親さんとのマッチングを目指すことにしました。

やがて人間に打ち解け、小学生と大の仲良しに

預かりボランティアさんの家に迎え入れらたチッパーは、元野犬の多くがそうであるように人間への警戒心は根強いものがありました。一方、これもまた野犬の傾向として「他のワンコとのコミュニケーション」に長けており、先住犬とはすぐに打ち解けました。先住犬に倣ってか散歩もできるように。

当初こそ抱っこすらさせてくれなかったチッパーですが、先住犬たちが預かりボランティアさんに甘える様子をまねするようになり、後には人間にスリスリするほどに成長。特に預かりボランティアさんの家にいる小学生とは大の仲良し。一緒に遊んでいるときは「私たち友達よね♡」とばかりに、満足げな顔をします。

成長しアレルギーもなくなったところで里親募集を開始

チッパーはややアレルギー体質で、保護当初はエサが合わなかったのか、体に赤みや腫れが出ることもありました。

預かりボランティアさんがいろいろとエサを試し、チッパーの体にぴったりのフードを探し当てました。赤みや腫れも引き、スクスクと成長。初めて人や突然の音を前にパニックになることもありましたが、家庭犬への条件を一歩ずつクリアしたチッパーは里親募集を開始しました。

「この子は……何犬ですか?」

日に日に大きくなるチッパー。トイレの失敗もなく、初めての人間の前でも慌てないようになりました。

個性的なルックスもさらに強まり、散歩中にすれ違う人から「この子は……何犬ですか?」と尋ねられることもしばしば。その度に預かりボランティアさんは、チッパーのバックボーンを話しました。犬種うんぬんよりもチッパーはチッパーです。「世界で1匹のかわいいワンコです」と。

そんな日々が続くうち、ついに里親希望者さんが現れました。募集サイトなどでチッパーのことを知り、「この個性的なルックスがかわいい。うちにおいで」と申し出たとのこと。

一定期間のトライアルでもお利口さんぶりを発揮。チッパーは里親希望者さんの家に「家族」として迎え入れられることになりました。

新しい家でもスクスク成長するチッパー。1歳になるころには心身ともにさらに成犬に近づいているでしょう。そのルックスと同様、チッパーらしい幸せな犬生を歩んでいってね。

Delacroix Dog Ranch
https://ddranch.jp/

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