【虎に翼】史実を超えて“孤軍奮闘する寅子”が描かれた理由は…「残された女性弁護士はただひとり」「社会的信用を得るため結婚」

佐野 華英 佐野 華英

 今週放送された「連続テレビ小説」『虎に翼』(NHK総合ほか)第9週「男は度胸、女は愛嬌?」では終戦を迎え、寅子(伊藤沙莉)は夫・優三(仲野太賀)、兄・直道(上川周作)、父・直言(岡部たかし)と、いっぺんに3人の家族を亡くした。打ちひしがれる寅子だったが、新聞で日本国憲法の報道を目にして、感情が爆発して咽び泣く。そして再び立ち上がり、裁判官として採用してほしいと司法省へ直談判に向かうのだった。

 話は少し前に戻るのだが、第7週・8週で描かれた寅子と優三の「社会的信用を得るための結婚」のいきさつや、その後寅子が「残されたただひとりの女性弁護士」となって孤軍奮闘する展開は、ドラマのオリジナルストーリーだ。

 三淵さんと同じ年に高等試験司法科に合格した女性弁護士は、三淵さんを含めて3人。後続の合格者も含めると、終戦までに高等試験司法科に合格した女性弁護士は計8人いた。つまり三淵さんは寅子と違い、「たったひとりで女性法曹の責務を背負いこむ」という状況ではなかった。この史実から“アレンジ”した理由を、制作統括・尾崎裕和さんに聞いた。

寅子が「してしまったことの結果を受けとめる」というターンも描かれる

制作統括・尾崎裕和さん(以降、尾崎)「寅子と優三の結婚については、当時、そして今もですが、結婚というものが社会的にどういう意味を持つのかという部分にフォーカスを当てました。そのうえで、この物語を生きてきたキャラクターたちがどう動いていくのかを考え、『社会的信用』を獲得したい寅子に、優三が提案をし、そこに寅子が乗るというストーリーになりました。

 寅子が、社会的信用のために優三を利用しているかのように見えたかもしれませんが、これからそんな寅子の後悔と、『してしまったことの結果を受けとめる』というターンも描かれます。はたして寅子にとって『社会的信用を得るための結婚』は良かったのかどうか、考えられるような物語になっています」

 また、史実では三淵さんの他にも同期の女性弁護士が2人おり、後続の高等試験合格者もいたのに対し、ドラマでは明律大学女子部の1年先輩であり、弁護士としては同期の久保田(小林涼子)と中山(安藤輪子)が共に家庭の事情で弁護士の仕事から離れてしまう。そして寅子は、たったひとりで「女性法曹の道」を切り拓く存在として追い込まれていく。この作劇の意図について、尾崎さんは振り返る。

「挫折」をふまえたうえでの寅子の「再起」に注目

尾崎「寅子は『自分が先頭に立たなければ』と自分自身を追い詰め、結果としてプレッシャーに押し潰されてしまいます。このドラマの中では、闘う寅子の心情にフォーカスするために、あえて、かなり追い詰める描写になりました。この『挫折』をふまえたうえでの、第10週以降の寅子の『再起』にご注目ください」

 一度は断たれたと思われた法曹の道を、再び歩き始める寅子。次週・第10週「女の知恵は鼻の先?」からは、寅子が家庭裁判所の設立に携わるというフェーズに入る。新たなキャストも迎えてスタートする、新章に注目だ。

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