2度の生産終了 23年ぶりに再復活 ホンダ・ダックスの波乱万丈ストーリー 再復活はタイのチームの熱意だった

松田 義人 松田 義人

ホンダの「ダックス125」が好調です。2023年の販売台数は約8900台で、全メーカー・全排気量のバイクの販売ランキングでも10位以内に食い込み、現在のホンダの主力バイクの一つになっています。

しかし、このダックス、1969年の登場から55周年を迎える今年までに過去に2度生産終了となった過去があります。過去の生産終了の理由と復活を遂げた経緯についてホンダモーターサイクルジャパンの内山史朗さんに話を聞きました。

「お母さんも楽しめるバイクを」と開発

ホンダのバイクの1カテゴリーとなったレジャーバイクの先駆けとなった「モンキー」。その変遷は以前報じた記事(リンク)を参照してほしいのですが、兄弟モデルとして開発されたのが「ダックス」でした。

「モンキーは海外から先に評価され、後に国内販売をしたレジャーバイクでした。当初、モンキーが海外でどのような使われ方をされているかを、Hondaのスタッフが現地に視察に行ったようです。キャンプや牧場といったアウトドアシーンで子ども用バイクとしてモンキーが使われており、お父さんは大きいバイクで遊んでいると。そこで『お母さんは?』と言うとお父さんと子どもが帰ってくるまで、ただただ待っているだけだと。ならば『お母さんも一緒に楽しめるバイクを開発しよう』として誕生したのがダックスでした」

誕生から12年で一度目の生産終了

想像通り「見た目がダックスフントっぽい」ということでこのモデル名になったダックス。

1969年の初代モデルから第二世代まではモンキーの初期モデル同様、ハンドルが折りたためる車載仕様。「車にバイクを積んで、どこかまで遊びに行き、現地のアウトドアシーンで遊んでほしい」という思いが込められていました。

以降、1970年代に入ってからはミニバイクユーザーを中心に絶大な支持を得て複数回のモデルチェンジ。しかし1981年に一度目の生産終了に至ります。

 

一度目の生産終了に至った「さまざまな理由」

「ダックスが1981年に生産終了となったのはさまざまな理由があったと思います。この時期は販売競争が激しさを増し、新機種が続々と登場する中、営業判断で生産終了となったのが理由の一つ。また、カタログスペック向上への関心の高まりからレーサーレプリカモデルに人気が出始め、レジャーバイクはモンキー、ゴリラに集約されていく流れもありました」

二度目の生産終了に至った「排ガス規制を受けてのラインナップの見直し」

国内モデルの生産終了後も、海外のダックス支持は安定しており、1990年代に入るまで海外向けの生産ラインが残っていました。日本のダックスファンは逆輸入で輸出向けモデルを入手する人もいたほどで、コアなニーズを受け1995年に日本国内モデルが復活しました。

が、復活モデルはわずか4年で姿を消してしまうのです。

「復活したモデルも相応の支持をいただきましたが、1998年の排出ガス規制など環境対応の高まりを背景に、ラインナップの見直しからダックスは生産終了となりました」

「ダックス」復活を実現させたタイの開発チーム

2度の生産終了となったダックスですが、それから23年を経て2022年に「ダックス125」として復活しました。

車体は旧モデルよりも大きくなりましたが、デザインコンセプトはかつてのまま。なぜ復活できたのでしょうか。

「ここ数年のホンダの125ccモデルは主にタイで製造しています。ダックス125もタイのチームが、タイの二輪市場の活性化を背景に開発しました。そして、タイ・日本とも絶大な支持を得ることができました」

冒頭でも触れた通り、2度の生産終了がありながらも、ここに来て絶大な支持を得ることになったダックス。

今年8月には新カラーモデルも登場しますますの支持の高まりに期待できそうです。ホンダが切り開いた「レジャーバイク」ジャンルの筆頭モデルとして、さらなる未来に向かって欲しいと願うばかりです。

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