日々の診察で、飼い主さんから猫のお看取りについてのご質問を受けることがあります。いろいろ考えまして、飼い主様向けのターミナルケアのマニュアルを作りました。「あなたの猫チャンが安全に天国に逝く方法」を、獣医師としてのこれまでの経験と論文や教科書(なかなか記載がないのですが)などをもとにまとめました。ここで全文を紹介いたします。
うちで飼っていたメインクーンミックスの雄猫「カッツ」(ドイツ語で猫という意味)は17歳6カ月で天国に逝ったのですが、亡くなる3日前まで普通にごはんを食べて歩き回って過ごし、その後はまるで電池が切れたかのように動かなくなり、3日後に安らかに逝きました。カッツの天国に逝く前の写真もマニュアルの中で紹介しています。
◇ ◇
はじめに
猫がもうすぐ天国に逝ってしまう…心配や不安を感じますよね。でも本ニャンは、自分のおかれた運命を呪う事なく淡々と歩んでいきます。そのときのお看取りに正解はありません。
貴方は飼い主として多くの時間を一緒に過ごしてきたのだから、誰よりもそのニャンのことを知っています。猫チャンを信じて、「その子らしくいられることを尊重」してあげましょう。
そして、残された時間を一緒に大切に過ごしましょう。食べなくなったら…点滴をしなければ、残された時間は1週間といったところです。点滴をすれば1カ月程度のこともありますが、投与した点滴を自分で処理できなければ胸やお腹に水がたまり、あるいはそれが原因で亡くなることもあります。
これからどうなるの?
・眠っている…というより目を開いていても周囲の物音に反応しない=意識を失っているような時間が多くなってていきます。ただし、最期まで耳は聞こえているといわれていますから、声掛けなど話しかけてください。
・食べたり飲んだりが減る、あるいは全く食べない飲まないこともあります。
・オシッコの色が濃くなる(脱水や黄疸になるため)、肩で息をする、手足先が冷たくなるなどの変化があるかも知れません。
・便秘になる場合、肛門近くまで便が来ているようであれば掻きだしてあげるのもひとつです(かかりつけ獣医師に連絡してください。)
・痩せ細り全身の筋肉が落ち、歩きにくくなります。
*このような変化が無く急に亡くなることもあります。