20歳10か月というご長寿の犬さん…トイプードルの長生きの秘訣は?飼い主に聞いた

岡部 充代 岡部 充代

 2003年6月3日生まれのトイプードル・ゆずちゃんは今、20歳10か月のご長寿犬です。一般社団法人ペットフード協会によれば、犬の平均寿命は14.62歳(2023年全国犬猫飼育実態調査より)。2010年に比べると+0.75歳と伸びていますが、それでも20歳の“成人式”を迎えられるわんちゃんはなかなかいません。

 飼い主の熊崎純子さんに「長寿の秘訣」を聞いてみました。

「よく聞かれるのですが、一番はもともと体が丈夫で生命力が強いのだと思います。昨年12月に腎不全から尿毒症を起こし、年齢的に厳しいかもと言われましたが、またお散歩に行けるくらい回復しましたし、それまで大きな病気はしたことがありませんでした」

 とはいえ、もちろん生活の中で心掛けていることはあります。それは「良質のドッグフードを食べさせること」「適度な刺激を与えること」「少しでも様子がおかしいと感じたら病院へ行くこと」。

 

 食事についてはここ数年、食べムラがあるため、ドッグフードの種類を決めた上で、“味変”できるトッピングを複数、用意。体重を減らさないよう「一日何回かに分けて“ノルマ”をしっかり食べさせる」ことを意識しているそうです。

 適度な刺激というのは、たとえば「この年齢だから」と行動を制限することなく、積極的に外出することなどを指しています。「私といることが大好きな子なので、若い頃からいろいろな所へ連れて行っていました。シニアになるとお出掛けが負担になるのではと考えがちですが、刺激がないと“ボケ”るでしょう?」(熊崎さん)。ゆずちゃんは20歳という年齢ながら、グルグル回る、昼夜逆転など、認知症が疑われる症状は一切ないそうです。

 17~18歳で耳が聞こえなくなり、目も19歳で見えなくなりましたが、昨年までは坂道を意識したロング散歩を敢行。つい最近まで家の近くで普通のお散歩ができていたそうですから、“健脚”も長寿の秘訣だったかもしれません。

 

ペットは「家族」

「私、スパルタママって呼ばれます」

 そう言って笑う熊崎さんですが、決して無茶をしているわけではありません。『ファミーユ』というNPO法人の代表理事を務めており、犬や猫の保護譲渡活動のほか、「老犬老猫シェルター」も運営。シニアに関する豊富な知識と経験に裏打ちされているのです。ちなみに、熊崎家にいるスタンダードプードルのミニーちゃんも14歳7か月とご長寿です。

 ファミーユとはフランス語で「家族」という意味。その名の通り、預かりボランティア宅にいる保護犬や保護猫、老犬老猫シェルターで暮らす犬や猫たちは大切な家族として愛情を注がれ、熊崎さん自身もゆずちゃんやミニーちゃんと分け隔てなくその子たちに接しています。先に挙げた「良質のフード」「適度な刺激」「早めの医療」も然り。

「アニドネ(アニマル・ドネーション)さんの認定団体としてたくさんのご寄付をいただけるので、医療費なども惜しみなく使うことができます」(熊崎さん)

 アニマル・ドネーションとは動物関連団体に特化したオンライン寄付サイトを運営する公益社団法人。全国に数多くある保護団体や啓発団体から公募し、基準を満たした団体のみを認定(現在39団体)、企業・個人から集まった寄付金を分配することで活動を支援しているのです。ファミーユは2019年からその認定を受け、1000万円を超える支援を活動に生かしています。

「今、アニドネさんが『STORY wtih PET』という企画をしていて、サイトにペットのエピソードを投稿したり、公式SNSに『いいね!』をすると、保護犬や保護猫にオヤツを届けられるんです。ゆずは昨年、20歳のお誕生日に着物姿を披露したときの写真とエピソードを投稿させてもらいました」(熊崎さん)

 オヤツ代(総額30万円)はアニドネの運営費から拠出されるため、投稿者の負担はありません。愛する「家族」の写真とエピソードを投稿するだけで保護犬猫の支援ができるとは、なんともハッピーな企画です。ゆずちゃんだけでなく、ファミーユの卒業犬・卒業猫も続々と投稿していて、熊崎さんは「幸せのループです」と笑顔を見せてくれました。

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