3月28日の参院本会議・2024年度予算案に関する討論での一幕が、SNSで物議を醸している。壇上の伊藤孝恵議員(国民民主党)が、就職氷河期に100社もの入社試験に落ちたという自身の体験を語った際、議場にいた他の議員から「おれ全部うかった」といった話し声や笑い声が聞こえたと、伊藤議員自らXで明かしたのだ。「就職氷河期の深刻さや社会にもたらした影響を認識できていない」と、嘲笑したとされる議員たちへの批判が強まっている。
予算案に反対の立場で討論した伊藤議員は「私が就職活動で100社もの会社に落ちた1997年、北海道拓殖銀行や山一證券が相次いで経営破綻しました」と切り出した。続けて社会が経済成長力を失ったことや雇用の不安定化などが少子化に与えた影響にも言及し、「『失われた30年』を創ったのは、言うまでもなく政治であり、これらの検証と反省のもとに、国家の予算は編成されるべき」と訴えた。
伊藤議員は同日夜、Xを更新。「100社もの入社試験に落ちた」と話し始めた時に議長席と思しき方向から吹き出す声が聞こえたほか、議場からは「100社はむごい」「おれ全部受かった」といった「笑い声や話し声が色々耳に入って来て動揺し、めちゃくちゃ噛んでしまう」(X投稿より)状態になったことを明かした。
続く投稿では「登壇すると議員の顔は全て見えます。寝るも笑うも呟きまでもよく聞こえます。国会には就職氷河期の奮闘を笑う議員もいれば、少子化を『男と女がいれば子供は生まれるんだよ』と野次る議員もいます」「そういう課題認識の元で的外れな政策が量産されているのです。変えねば。次世代に申し訳が立たない」とした。
投稿は5000件以上リポスト(再投稿)され、伊藤議員の体験を嘲笑したとされる議員たちに対して批判の声が相次いだ。
「100社落ちるなんて当たり前にある時代だったのに」「野次を飛ばした、就職氷河期世代の苦労を知らない政治家は国会議員として失格」「就職氷河期は人災的な部分が多く、政治にも多くの責任がある」「第二次ベビーブーム世代が軒並み子供を作らなくなって少子化が進んだ原因は、バブル崩壊後に就職氷河期を救う有効な対策を打たなかった政府の失策」「我々世代にとっては、全く笑い事ではないんですけどね…政治の責任者たちがどの程度の認識かがわかるエピソードです」といった声が上がった。