「生きていました…」。そんな言葉とともに投稿された現場の報告が、SNSで大きな反響を呼んでいる。
投稿したのは、保護活動を行う「ちまきなころんINよねっこはうす」さん。飼い主が急逝し、無人となった住宅に取り残された猫たちの救出に乗り出した。
「間に合わないかも」覚悟で入った室内 そこにいたのは…
相談のきっかけは「無人の家の窓際に猫がいる」という連絡だったという。知人を通じて「飼い主が亡くなり、猫たちが閉じ込められている可能性がある」との相談を受け、関係者立ち会いのもと現地へ入った。
「間に合わないかもな…と覚悟を決めて入りました」と振り返る。室内は荒れ、足の踏み場もない状態。悪臭も立ち込めていたという。しかし、耳を澄ますと猫たちが逃げていく音や気配があった。「生きている」と確信した瞬間だった。
確認された猫は15匹以上 外にも取り残された命
当初は「10匹前後」と見られていたが、5月7日時点で捕獲された猫は15匹。さらに捕獲できていない猫も3匹確認されているという。
室内に閉じ込められないよう勝手口を開けていたものの、多くの猫は家の中や敷地内にとどまっていた。突然飼い主を失い、環境が一変した中でも、懸命に生き延びていた。
「大切にされていたことが分かる」飼育環境
現場には、猫たちのための設備が整っていた。立派なキャットタワーが設置され、フードも安価な多頭用ではなく質の良いものがまとめ買いされていたという。
亡くなった猫はお骨壺で保管され、室内の猫たちはすでに不妊手術が施されていた。「かわいがられていたことがよく分かる環境でした」と話す。
半月以上経過も命はつながっていた
飼い主の死後、半月以上が経過していたが、室内の猫たちは比較的健康な状態だった。不妊手術が済んでいたこともあり、無用な繁殖も起きていない。
懸念されていた餓死や遺体の放置といった状況も確認されなかった。「環境の変化に戸惑いはあるものの、命がつながっていたことに安堵しました」と語る。
「生活困窮とは違う」今回のケースが突きつけるもの
これまで支援してきたケースは生活困窮による多頭飼育崩壊が多かったという。しかし今回は異なる。飼い主は医療従事者として働き、安定した収入があり、猫のために家を購入するほどの愛情を注いでいた人物だった。
「職場の方も“こんな状況は想像できなかった。いつも凛として優しい先輩だった”と話していました」
一見問題がないように見える暮らしの中でも、こうした事態は起こり得ることを痛感したという。
さらに、今回は複数の活動者から猫が譲渡され続けた結果、頭数が増えていたことも判明した。「収入があっても、元里親でも、譲渡時の環境確認や継続的な把握は必要だと感じました」と指摘する。
「気づきにくい孤立」今後増える可能性も
「安定した収入があり、ある意味で悠々自適に見える一人暮らしほど、周囲が異変に気づきにくい」と話す。心の問題や生活の変化があっても、表面化しづらいケースは少なくない。
「早い段階で人の手助けがあれば防げたのではないかと思うことが多い」とし、人と動物双方への福祉の充実の必要性を訴える。「こうした案件は今後もっと増えていくと思います」と警鐘を鳴らした。
「人に慣れた子たち」里親募集へ
現在、猫たちは保護され、不妊手術などの対応が進められている。人に慣れている子が多く、「とてもかわいい子たちです。どうか幸せにつながるよう里親募集をお願いします」と呼びかける。
突然の別れで取り残された命。それでも懸命に生き延びた猫たちの未来をつなぐため、支援の輪が求められている。