「他の会社にご縁を感じたので」入社式間近、内定者の辞退メールに衝撃!採用担当者の嘆きが話題に「誠意がない」「海外だと普通」

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「『4月1日に入社できません』
3月22日。職場の空気がはりつめる。
採用担当者に1通のメールが届いた。

『他の会社にご縁を感じたので、
貴社には入社できません。
申し訳ありません』

航空券もホテルも研修用のテキストも
キャンセルするにはもう遅い。
いや、そんなことはどうでもいい。」

3月下旬に内定者から届いた辞退のメールに嘆く、とある企業の採用担当者の投稿がX(旧Twitter)で話題になりました。

投稿したのは、ぱぱごりさん(@papagori40)。ぱぱごりさんはプライム上場企業で人事担当を15年ほど務め、1000人以上の面接を経験してきたとのこと。4月1日の入社式が間近に迫る3月22日、1人の内定者から1通のメールが届きました。その内容は「他の会社にご縁を感じたので、貴社には入社できません。申し訳ありません」。他社に入社を決めたという、突然の辞退を知らせるメールでした。さらにぱぱごりさんはリプライでこう続けます。

「こんな大切なことをメール1通で
済ませられたことが重くのしかかる。

怒りを通りこして呆れてしまう。
顔にドロをかけられたような気分だ。

そういえば、内定式で誓約書を書いてもらった。
今になって思うのは、こんな紙切れに何の価値もないということ。気休め以外のなにものでもない。」

内定式で交わした誓約書は法的効力はなく、今となってはただの“紙切れ”だと嘆きました。それも今回の内定辞退者は3人目。1人目は「単位が足りずに大学を卒業できない」。2人目は「専門学校を卒業できるが入社に必須の資格が未取得なので内定を辞退させてほしい」との理由だったとか。

「内定断るの大変だった世代からみると、びっくりな話」「企業側も就活生をお祈りメール一通で切ってるじゃないか」

そんなぱぱごりさんの投稿には、「内定断るの大変だった世代からみると、びっくりな話」「海外だと普通な事だけど、日本だと考え過ぎちゃうんだろうね」などとさまざまな意見がたくさん寄せられています。

「この時期に内定辞退をメール1通で済まそうとする事が信じられないですね」
「内定断るの大変だった世代からみると、びっくりな話ですね。同世代の人間は内定断るためにスーツで会社に行き、水ぶっかけられたり、謝罪求められたりしましたし、大学にも謝りに行ったりしてましたね。まあ辞める時も大変だったし。どっちがいいのかはわかりませんが」
「ぱぱごりさん、ホントに誠意のない方はいるもので、初日のお昼休みに帰ってこなくなった人は数人います。それきり親御さんからの連絡で終わり。社会人としてというより、1人の人として、責任もって後始末まできれいにしてほしい。また親御さんも、それは優しさではないので、その子のためを思って責任を全うさせてほしいものです」
「何を言ってるんだ 企業側も就活生をお祈りメール一通で切ってるじゃないか」
「会社と社員の関係なんてそんなものじゃないですかね? もっとドライでいいと思いますよ」
「海外だと普通な事だけど、日本だと考え過ぎちゃうんだろうね。基本的に日本は給料低いから(新卒で600万以下とかは論外)人気企業以外は入ってくれたらラッキーくらいの気持ちでいないとメンタルやられるよね」

入社式の10日ほど前に起きた内定辞退者。今回の出来事を通じて採用担当者はどう考え、受け止めたのか? ぱぱごりさんに聞きました。

内定式後に「他社にご縁を感じたから」という辞退理由は初めて 採用担当者「直接会って話をする機会を設ければ防げたかも」

──入社式を間近に控えての内定辞退者が出たとのこと。内定式はいつ?

「内定式は2023年10月2日に開催しました。辞退のメールを受け取った時は『え、ウソでしょ?』と思わず口に出してしまうほど、信じられないといった気持ちが強かったです」

──内定式後、今回3人目の辞退者だそうですが…。

「ほぼ毎年1、2名の辞退者が出ていたため、辞退者が出ることは想定しています。ただし過去の辞退理由は『単位が不足し卒業できないから』といったものばかり。今回のように、内定式終了後に『他社にご縁を感じたから』という理由は初めてのケースなので驚いています」

──入社式間近に内定辞退者が出たことで反省したことは。

「メールによる連絡だけではなく、直接会って話をする機会を設けることで防げたのかなと考えています。ですので、内定式終了後、内定者がリアルで集まる機会を一度も設けなかったことは反省すべき点です。内定者が抱える不安や悩みを共有できる関係を構築できていれば、『実は他社からも内定をもらっているんです』と結論を出す前に相談してもらえたかもしれません」

内定辞退は…早く連絡して! 内定者は…入社式に笑顔で来て!

──また投稿に対して、「ホントに誠意のない方はいる」「企業側も就活生をお祈りメール一通で切ってるじゃないか」などとさまざまな意見のリプライがありました。

「『大きな学びになった』というのが率直な意見ですが、企業からの『面接は不合格です』とお伝えするお祈りメールと、内定者からの入社まで1カ月を切った時点での入社辞退メールは、重みが大きく異なると考えます。しかしながら、皆さんのリプライや引用リポストを拝見して、採用担当者の傲慢な考え方だったのかなとも感じています…というのが9割。『もっと早く連絡してくれ』というのが残り1割です。ホテルや航空会社の方たちを困らせることもなかったでしょうし、採用活動を再開して挽回できたかもしれないので。

なお卒業できない、資格を取得できない方たちを引き留めるという選択肢はありませんでした。その方たちを優遇することは、約束を守った方たちに対して不公平だと感じたからです。また私がこのポストを通して伝えたかったのは『①バッドニュースこそすぐに連絡する』、『②入社式で会えるのを心待ちにしている』の2つ。この部分がうまく伝わらなかったことは非常に残念ですし、SNSの怖さを痛感する貴重な経験になりました」

──とはいえ、4月1日は入社式ですね。

「はい。内定者の皆さんが笑顔で来てくれることを信じるだけです。気持ちよく安心して入社してもらえるように、採用および教育担当者はたくさんのお金と時間をかけて準備をしています。当然と思うのではなく、ほんの少しの感謝の気持ちをもって社会人としての一歩を踏み出してもらえるとうれしいです。皆さんが素晴らしい社会人生活を送れることを心から祈っています」

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