スーパーチューズデーで圧勝…より現実味を帯びる「トランプ2.0」 世界各国が戦々恐々とする一方で、日本にはチャンスも

治安 太郎 治安 太郎

11月の米大統領選に向けた共和党の候補者指名争いでは、トランプ氏の独壇場となっているが、5日に最大の天王山と言われるスーパーチューズデーを迎え、15州で一斉に行われた選挙の結果、トランプ氏が14勝1敗と圧勝した。トランプ氏はバージニア州やテキサス州、マサチューセッツ州やカリフォルニア州などで次々に勝利し、バーモント州のみで敗北したが、ヘイリー元国連大使は選挙戦からの撤退を表明した。今日、共和党は一致団結しようという状況で、正に“トランプ党”のようになっている。

トランプ氏は民事や刑事などいくつかの裁判を抱えているので、課題があるのも事実だが、今回のスーパーチューズデーがトランプVSバイデンの対決を決定づけたことは間違いない。両者の戦いだとトランプ有利の見方が多く、日本としてはトランプ2.0のシナリオをもう現実問題として考えておく必要がある。

これまでの国内メディアの報道を見ると、米国第一主義に戻る、ウクライナ支援が終わる、中国との間で貿易摩擦が激化するなどなど悲観的な見方が多い。仮にトランプ氏が大統領に返り咲けば、これらは実行されていくだろう。しかし、我々はトランプ再選をマイナスイメージだけで捉えるべきではない。トランプ再選は日本にとって明るい材料でもある。

第2次トランプ政権となれば、中国との間で貿易摩擦が再び激化することは間違いない。トランプ氏は中国からの輸入品に対して一律60%の関税をかけると言及しており、中国との間では輸出入規制、関税引き上げなどが横行する恐れがある。安全保障面でも、仮に中国が台湾を香港化すれば、中国は台湾を軍事的最前線として基地化し、西太平洋での影響力拡大を目指し、米中間では海洋覇権競争がエスカレートするが、それはグアムやハワイなど米国の国益を揺るがす問題である。

こういった事情を考慮すれば、トランプ氏にとって米国の国益を守るためには日本との協力が重要になる。経済安全保障分野で中国に打ち勝つため、太平洋における米権益を守るためには、日本との経済、安全保障面での協力が米国の国益を守ることになる。日本としても、「日本との協力関係が米国の利益になりますよ!」と伝えることが戦略的に重要だろう。

また、拉致問題を巡ってもトランプ再選は日本にとってプラスだ。バイデン政権はこの4年間、北朝鮮を完全に無視してきた。北朝鮮が核やミサイルで進展を見せないと相手にしないのがバイデンのやり方だったが、トランプ氏は金正恩氏とベトナムやシンガポールなど3回も米朝首脳会談を行い、北朝鮮もトランプ再選を待っていることだろう。最近、北朝鮮は日本へ接近するような仕草を見せているが、日本としてはトランプ氏を上手く利用する形で拉致問題の解決に繋げられるよう努めるべきだ。

どうしても心配事ばかりが先行してしまうが、トランプ再選は日本にとって決してマイナス要因だけではない。

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