救急車や消防車、パトカーなどの緊急自動車が赤色の警光灯をつけてサイレンを鳴らして接近してきた場合、走行中・歩行中・車などを運転中は、速やかに進路を譲らなければならないことが、道路交通法で定められている。
消防車両などを撮影・発信している武蔵野R(@FD_musashinoR)さんは先日、消防署の許可を得て消防車を撮影していたところ、驚くべき緊急自動車妨害を目撃。
「今まで見た中でいちばんひどい緊急車妨害です」とつぶやき、撮影した動画をX(旧Twitter) に投稿した。
投稿された動画に映っていたのは、消防署から出動しようとする救急車が赤い警光灯をつけてサイレンを鳴らしているにも関わらず、消防署前の道路に標された「停止禁止部分」の中央に停車したまま移動せず、救急車の出動を妨げている白い車。
「救急車が出られないです!」
大音量で鳴るサイレンを無視し、救急車の出動を妨害し続ける運転手に対して、「ジープの運転手さん、下がってもらえますかね? 救急車出れないです!」と、スピーカーで警告する救急車。ようやく車は移動するが、なぜか後ろではなく前に進んだため、救急車は右側に少しハンドルを振って車を避け、やっと道路へ。
しかし、その後も車は救急車に道を譲らず、信号が変わったタイミングでそのまま救急車の前を妨げる形で走行し続けた。
「緊急車妨害等違反」が疑われる車の様子に、多くの反響が寄せられた。
「これは酷い」
「何のための停止禁止の枠なんだよ」
「ジープはそもそも手前で止まってなきゃいけない」
「そして何故どかない?」
「救急車が出てからも避けない、という謎行動」
「免許を剥奪した方が良いレベル」
コメントにもあるが、緊急自動車が速やかに出動できるよう、警察署や消防署、病院等の前の道路には「停止禁止部分」が白線等で標示されおり、信号などで停止するおそれがある場合は、標示の手前で停止しなければ違反となる。
「道路標示によって区画された部分に入った場合においては、その部分で停止することとなるおそれがある時は、これらの部分に入ってはならない」(道路交通法第50条2項)
さらに、赤い警光灯をつけてサイレンを鳴らしている緊急自動車には道を譲らなければならず、「緊急自動車妨害等違反」に問われる可能性がある。
「交差点、またはその付近で緊急自動車が接近してきた時は、車両は交差点を避け、かつ、 道路の左側(一方通行で左側に寄ることが緊急自動車の通行を妨げる場合は右側)に寄り、一時停止しなければならない」(道路交通法第40条1項)。
これらは自動車学校の学科教習や路上教習でも厳しく指導される内容であり、運転免許証を所持している者なら、「知らなかった」では済まされない。
「命」に関わる違反行為
寄せられたコメントのなかには、「撮影してないで運転手に知らせに行けばいいのに」「なぜ消防署員がジープのドライバーに指示しないのか?」といった声も見受けられた。撮影時の状況を伺ったところ、「この時、消防署付近で車両と自転車が絡む事故が起きており、消防署の方々は警察への状況説明等の対応に追われていたのではないかと思います」と、武蔵野Rさん。
また、帰宅時間帯で車の量が多く、武蔵野Rさんが渋滞する道路を横断して違反者に注意を促すことは不可能だったという。
多くの消防車などを撮影してきた武蔵野Rさんも驚いた「命」に関わる違反行為について、武蔵野Rさんにお話を聞いた。