デザイン優先?東京国際フォーラムの非常口が「わかりにくすぎる」 安全性に問題は?→担当者に聞いた

渡辺 陽 渡辺 陽

東京・丸の内にある「東京国際フォーラム」(東京都千代田区)は、国際建築家連合(UIA)公認国際コンペで選ばれたラファエル・ヴィニオリ氏が設計したもので、アメリカ建築家協会の優秀デザイン賞など、数々の賞を受賞したことでも知られている。

そんな東京国際フォーラムには、秘密の扉のようなものが存在する。一級建築士の箒さん(@houki_knck)は、最上階にあるその画像を投稿。その佇まいのあまりの“秘密”ぶりに反響が広がっている。

「国際フォーラムで見つけた秘密の入口。誘導灯があっても一般の方が階段と気づけるのか問題…」

確かに壁面に非常灯はついているが、取手も見当たらず、押すのか引くのかもすぐには分からない。

画像を見た人からは、

「もしもの時の人命<デザイン優先」

「色んな意見あると思うけど個人的にはワクワクと機能性でデザインの勝利としたい」

「忍者屋敷かよ(苦笑)」

などさまざまなコメントが寄せられ、「いいね」は5.3万件にもなった。

箒さんに聞いた。

ーーこの扉は簡単に開けられるのですか。

「押すと開くようになっています。かなり重いです。扉の上に石が施工してあるので、重量はかなりあるでしょう」

ーー扉の取手の周辺が黒くなっていますね。

「このフロアは通路とトイレ、飲食店1店舗があるのみなので、一般の方の使用頻度はかなり低いと思います。ただし、この扉の中に入った先に飲食店への通用口のようなものがあるので、従業員の出入りにはよく使われているのかもしれません」

ーー火災になったら、煙で誘導灯が見えにくくなりませんか。

「この扉が設置してあるのは最上階で、上部は天井がかなり高く設定されています。もし煙が上がっても、非常口のマークが見えないほど煙が滞留するということは恐らくないでしょう。あくまで推測の話なので、実際の意図は分かりません」

ーー安全性とデザインのバランスが難しいですね。

「建築基準法として不適合という判断はできないと思います。でも、安全性を考えた時、あまり望ましいとは言えないでしょう」

とはいえ、やはり非常時にわかりにくいのは間違いない。東京国際フォーラムに見解を聞いた。

「当館の非常口設置箇所には、法令に則り非常口サインを設けております。扉部分には『押す』及び『階段室』表示がございます。非常口サインは、停電時には非常用電源により点灯されます」

「1997年に開館以来、2024年で開館より27年が経過しております。当社では安全安心への取組の一環として、定期的に各種訓練を実施しております」

つまり「問題はない」という認識のようだ。

階段を降りて建物1階に行くと、外側への非常用出口があるという。非常時にはエレベーターが止まることもあるので、この扉を押して階段を降りるのが賢明だ。

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