Tさんが大学の卒業・修了作品展のために制作した作品がこちらです。コンセプトについて聞きました。
「現代は様々なことがアップデートされ続け、インターネットの普及により情報が多くなり、大人になるにつれ記憶と情報が増えていく。それと共に無くなっているのは私は”余白”なのではないかと考える。
現代を生きて、わびさびを嗜む感覚はどれほど残っているのか、想像力が入り込む余地というもの、思考に余白はどれほどあるのだろうか。余白が出来る瞬間は現代を生きる人にはあまりにも少ない気がする」
「人は社会の1部ではなく、自然界の一部分であり、自然に対しては人は無力で、人は自然の創造物でしかない。
自然界が生み出す毎秒違う世界は、今も昔も人の目に映り、心に、思考に余白を与えてきたのではないか。自然が生み出す模様は、見た瞬間の1度しか生み出されません。私はこの1度しか生み出されない曖昧なものに、吸い込まれそうな、どこか懐かしいような、私の見据える心地よい世界と近しいものを感じます。
過去と時間を記憶する木材という素材で、制作したその日から未来へ向けて、人々の余白を生み出すきっかけになる作品を制作したいと思い、作品を作りました」