日本では賭博(ギャンブル)が違法とされている中、公営競技いわゆる公営ギャンブルだけは認められている。
公営競技とは、公的機関が賭博として開催するプロスポーツの総称で、競馬、競輪、競艇、オートレースがある。
競技場はほとんどの都道府県にあるが、沖縄県と長野県にはないという噂を耳にした。その真相を確かめるため、リサーチを進めた。
競技場がない県を調べる過程で「すべての競技場がある県」が偶然に判明
4つの公営競技のうちどれかの競技場はほぼ全国にある。リサーチを進めてみたところ、その過程で、あらたに判明したことがある。
埼玉県と福岡県には、競馬、競輪、競艇、オートレースの4競技すべての競技場が設けられていたのだ。両県に問い合わせると、次のような区分になっていることが分かった。
埼玉県の公営競技場は、戸田競艇場(戸田市)、浦和競馬場(浦和競馬組合、埼玉県・さいたま市共同)、大宮競輪場・西武園競輪場(埼玉県)、川口オートレース場(川口市)の5カ所。
福岡県の公営競技場は、福岡競艇場(福岡市)・芦屋競艇場(遠賀郡芦屋町)・若松競艇場(北九州市)、小倉競馬場(北九州市)、久留米競輪場(久留米市)・小倉競輪場(北九州市)、飯塚オートレース場(飯塚市)の7カ所である。
ちなみに公営競技の主催は、競馬が日本中央競馬会(JRA)、ほかの3競技は地方公共団体や事務組合となっているそうだ。
これらは、わざわざ意図したわけではなく、主催する地方公共団体がそれぞれに競技施設を設けた結果、偶然に4競技が揃ったようだ。
競技場のない長野県には場外売場が設けられていた
長野県と沖縄県には、なぜ競技場がないのか。両県に問い合わせると、まず長野県庁から回答をいただいた。内容を要約すると「県としては分からない」とのこと。ただ、競技場がない県が、ほかにも8県あるという情報を教えてくれた。調べてみると宮城県、秋田県、山形県、山梨県、鳥取県、島根県、宮崎県、鹿児島県の8県に競技場がなく、長野県と沖縄県を合わせると10県となる。
しかし、これらの県は競技場がないだけで、投票券(いわゆる馬券や舟券)の場外売場は設けられている。また、場外売場のなかった長野県にも、2021年9月に「サテライト信州ちくま」という場外売場が設けられていた。
つまり、沖縄県以外の都道府県には、公営競技の競技場か場外売場のいずれか、または両方があるわけだ。
戦後はアメリカの施政権下におかれていたことと大きく関係している?
47都道府県の中で、なぜ沖縄県にだけ公営競技場が存在しないのか。沖縄県庁からは以下のような回答をいただいた。
競馬、競輪、競艇、オートレースなどいわゆる公営ギャンブルに関する法律が制定された昭和20年代(1945年以降)の沖縄は、アメリカの施政権下にあったことに加えて他の都道府県から離れている地理的要因もあって、公営ギャンブル導入の動きが見られなかったのではないかと推察できるという。
また、「県として、公営ギャンブルの導入を推進する方針はもっておらず、所管する部署も存在しておりません」とのこと。
場外売場も存在しないことの確認を求めたところ、所管する部署がないため情報収集を行っていない(=確認していない)という。しかし「設置を検討する地域があれば、新聞などでも報道されると思います。設置を検討した場合は必ず記事になりますが、設置が認められたという記事は見た記憶がございません」とのこと。
一方で、「どこまでを公営ギャンブルとするかによりますが、宝くじやスポーツ振興くじなどは、沖縄県でも購入できます」とのことだった。
結論として沖縄県は47都道府県で唯一、公営競技の競技場と場外売場の両方がない県であり、逆に、リサーチの過程で偶然に判明したこととして、埼玉県と福岡県は県内に4つの公営競技場が揃っているということだった。
尚、ギャンブルは依存性が強いため、やりすぎにはくれぐれもご注意を。