高金利が魅力!だけど…思わぬ損失も? メキシコペソ投資のメリットと、気をつけたい3つのリスク【FPが解説】

八幡 康二 八幡 康二

「株式の値動きは怖いから金利でお金を増やしたい…」「金利収入で生活したい」このように思っている人は多いのではないでしょうか。

日本の定期預金の金利が数年ぶりに上昇したといったニュースがありましたが、円預金の金利は依然として低いままです。メガバンクの1年物の定期預金の金利は0.002%なので、100万円預けても1年間で20円(税引き前)しか利息は付きません。しかし世界に目を向けると金利の高い国はたくさんあります。

例えばメキシコペソ投資に注目している人も近年では多いようです。そこで自営業のAさんがおこなっているメキシコペソ投資体験を見てみましょう。

自営で卸売業を行っているAさんは45歳。金利の高いメキシコペソに投資をしています。メキシコペソに投資を始めたのは、何度かメキシコに行ったことがあり馴染み深いことが最大の理由でした。

それだけではなく、現在のメキシコの政策金利は11.25%です。日本の政策金利は-0.1%なので大きな違いがあるのが分かります。メキシコペソを使った投資方法はいくつかありますが、Aさんの投資方法は「債券」と「FX」です。

メキシコの高い金利を取りたいと思い、Aさんは債券での投資を始めました。債券とは国や地方公共団体、民間企業などが発行している借用証書のようなものです。

保有期間中は「利子」と満期日を迎えた際の「額面金額」を受け取れます。2024年1月現在7%を超えるメキシコペソ建ての債券も珍しくありません。そのため長期で保有して高い金利を享受したい人におすすめです。

メキシコペソ投資をするうえで気を付けるポイント

AさんはFXでもメキシコペソに投資をしています。FXでメキシコペソを使って投資をおこなう際に、Aさんが気を付けているポイントは2つです。

・低レバレッジで行う
・他の通貨にも分散投資する

メキシコペソ円の、為替レートは2024年1月26日時点で約8.64円です。米ドル円の為替レートは148円台なので、非常に低いのがわかります。

少ない投資資金から始められるメキシコペソへの投資ですが、メキシコペソは値動きが大きいです。そもそも投資では投資会社に補償金額(証拠金額と呼ばれる)を預け入れることで、手持ちの資金の何十倍にもなる金額を投資に使える『レバレッジ』という手法を使って高額投資をおこなうことが多いでしょう。

しかし何十倍ものレバレッジを効かせた投資では損失が発生した時の金額が大きくなり、財産を失うリスクもあるため、Aさんは低い倍率で安定感のあるレバレッジで運用しています。

またメキシコペソは値動きが大きいので、他の通貨にAさんは分散投資をしています。仮にメキシコペソが暴落しても全体の資産価値を守るためです。

メキシコペソ投資のメリットや注意点とは

このように高金利通貨のメキシコペソに投資する方法はいくつかありますが、メキシコペソに投資をするメリットや注意点をFPの鳥居佳織さんに聞きました。

――投資対象としてのメキシコの魅力的なポイントを教えてください。

メキシコペソの投資対象としての魅力的なポイントは主に3つあります。

・長期的な成長が期待できる
・高い金利を受け取れる
・短い期間でも大きな値動きがある

メキシコは、人口が増え続けており、労働力人口も増えています。また経済の伸びしろが先進国に比べて高く、今後、大きな成長が見込まれている国です。

もちろん短期で見ると、政治情勢が不安定であったり、治安が悪いなど不安な点はたくさんあります。しかし、長期的な目線で見れば、大きな成長が期待できる国であることは、投資をする上で大きなポイントになるでしょう。

またメキシコペソは、日本円や米ドル、ユーロなどに比べて圧倒的に金利が高いです。その分、受け取れる金利も高くなります。長期で保有すれば、たくさんの金利収入を受け取れるのも、メキシコに投資をする大きなメリットになるでしょう。

その他の特徴として、メキシコペソは短い期間でも大きな値動きがあります。なぜなら日本円や米ドル、ユーロなどに比べて圧倒的に流動性が低いからです。

少ない取引量でも大きな値動きをする傾向にあることから、短期間で大きな利益を狙えるかもしれません。短い期間でも大きな利益が狙える可能性があるのも、メキシコペソの投資妙味であるといえるのではないでしょうか。

――メキシコペソの投資対象としてのリスクを教えてください。

メキシコには様々な投資妙味がありますが、以下のような3つのリスクもあります。

・短期間に大きな損失になる可能性がある
・ロスカットに引っ掛かりやすい
・地政学リスクが高い

メキシコペソは流動性が低いことから、短期間でも大きな値動きがあります。また突発的な値動きも多く、場合によっては短期間でも大きな損失になる可能性があります。

先進国への投資以上に資金管理をしっかり行って、投資をしないと思わぬ損失につながってしまう可能性があるのはリスクでしょう。

FX会社の中には通貨にかかる金利を利用し、低金利の通貨で高金利の通貨を買うことで利子利益を発生させる『スワップポイント』狙いで円を使ってメキシコペソを買うような投資をおすすめしている業者があります。確かにメキシコペソは、先進国の通貨に比べて高いスワップポイントが受け取れます。

ただしメキシコペソは値動きが荒く、一瞬にして大きな損失が予想されるくらいに値下がりしてしまい、さらなる損失を防ぐために自動的に取引を完了させてしまう投資会社のシステム『ロスカット』が働き痛手を負うリスクがあります。いくら高いスワップポイントであっても、ロスカットに引っかかってしまうと、大抵の場合大きなマイナスになるはずです。

今まで積み上げてきたスワップポイントを一瞬にして失う可能性があるロスカットになりやすいのもメキシコペソ投資のリスクです。

メキシコは、先進国のように政治が安定していません。また、治安やインフラ面についてもまだまだ不十分なところが多いです。

地政学リスクが高いのは、株価や為替が急落する可能性が高いということです。その分、大きな成長が見込まれるため、ある程度のリスクは仕方ありません。

しかし、先進国のように地政学リスクが低いわけではないのもメキシコに投資をする際の注意するポイントです。

◆鳥居佳織(とりいかおり)/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大手生命保険会社にて8年間勤務。保険コンサルティングでは個人、法人、問わず生命保険や損害保険を幅広く販売。金融ジャンルの専業ライターとして活動中。金融全般に関するさまざまな相談に応じてきた経験があり、実体験ベースでの執筆が得意。主に保険、年金、資産運用など幅広く執筆している。

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