今住んでいる住宅が古くなってきたら、リフォームやリノベーションをして設備や今の生活に合わせて間取りを変更することもできます。ただ、いまいち馴染みがなく、金額の相場などは一般の方にはわからないため、リフォーム担当の言いなりにしたがっていると金額が膨れ上がっていたということもあるようです。
母との同居をきっかけに…
Kさん(関東在住、50代女性、専業主婦)は夫(50代、製造業勤務)と、子ども(20代女性)3人で一緒に暮らしていましたが、子どもが就職を機に都心に引っ越したため、20年ほど前に購入した建売住宅で2人暮らしをしています。
購入したばかりの家は、当時の最新設備などが揃っており、気に入っていましたが、それも20年前の話なので、現在は給湯器が悪くなっていたり、2階のトイレが故障していて使えないなど、色々と不具合が出てきています。
そんな中、父が他界してしまい母の面倒を見るために、一緒に住むことになりました。母が不便しないようにするためにも、今の家をリフォームすることにしました。
たまたまポストにリフォーム業者のチラシが
ただ、リフォームするにも、どこの業者に頼んだら良いかわかりません。困っていると、たまたま家のポストにリフォーム業者のチラシが入っていたので、早速電話して見積もりにきてもらいました。
すると、交換して欲しい給湯器や、トイレだけでなく、「ほかにも変えたほうが良い場所がある」と言われました。たとえば、すこし軋んできたようだけど、そこまでに気にしていなかった建具など。いざ指摘されると「直したほうがよいのかな」とも感じ始めたので、言われるがまま見積もりに入れてもらいました。
後日、見積もりが届き、金額は300万円程でした。正直高いと思いましたが、思っていたより修理が必要なところもあったのでしょうがないとも思い了承しました。
満足な仕上がりだったけれど…
住みながらの工事は、業者の人が行ったりきたりするのが、とてもストレスでした。そして、完成してからも「やはり300万は高かったのではないか」とモヤモヤしていました。
ある日友人と食事に行った時に、リフォームをしたことを話していると金額の話になり、300万円かかったと話したところ、「その値段って…高くない?」驚かれました。
たまたま友人もリフォームをしたらしいのですが、必要なところを最小限にしたので100万円以内で収まったと言っていました。なんでも友人は、4つのリフォーム業者を呼び、全部同じ条件で見積もりを出してもらったそうです。その中から一番お値打ちで、誠意がありそうな業者を選んだそうですが、中には相談していない箇所を勝手に見積もりに入れてきている業者もあったようです。
友人の話を聞いて、Kさんは自宅のリフォームのことをあらためて振り返りました。「正直、扉の建具はまだまだ使えたような気がする」「2階の部屋は、言われるままに、壁を破って一部屋にしてもらったが、別にそんなに広い部屋は必要としていなかった」…。無駄にお金を使ってしまったのではないかと、悔やまれてなりません。
「自分の知識や計画性の無さが生んだ失敗だとは思いますが、友人のように相見積もりをしていれば、金額以外にも適切なアドバイスをもらえる業者に出会えたのかもしれません」と、Kさんは話しています。
◇ ◇
このようなトラブルはよくある事なのでしょうか?
アルファホーム名古屋株式会社でマンションコーディネーターとして、不動産仲介も担当している川本麻登さんに聞きました。
「いらない」と思ったのであれば、はっきりと伝えて断って
ーー言われるがまま直してしまうというケースはよくあるのでしょうか?
私も、リフォームの相談を受けますが、本当にそこの修繕は必要なのか?と思う内容を提案されている方が多くいます。
もちろん、プロの目で見て必要だと思ったら提案してもらうことは良いことだと思いますが、全部見積もりに入れていたら予算オーバーになってしまいますよね。
今回のKさんですが、「建具はいらないかな」と思っていたなら、そこははっきりと伝え断りましょう。本当に建具交換が必要なら、壊れてからでも遅くないです。
ーー相見積もりは重要なのですね。
相見積もりはとても重要だと思います。金額も業者によって違います。それに、担当者が自分に合うかなども選ぶことができます。リフォームは高額な金額を出すことになることが多いので、慎重に業者選びはしていきましょう。
◆川本麻登(かわもと・あさと)アルファホーム名古屋株式会社 マンションコーディネーターhttps://alphahomenagoya.jp/