線香は火種になる?旧田中角栄邸の火災…仏壇店が実証実験「仏壇火災は線香ではなく」

中将 タカノリ 中将 タカノリ

実験では炎が上がることはなかったが、条件によっては線香が火災につながる可能性があることがわかるこの実験。阪本さんに話を聞いた。

ーー旧田中角栄邸の火災を知った際の感想を。

阪本:江戸時代から続く寺院のご住職と立ち話している時に「線香で火事になる事は実際にあり得ないと思います、畳に焼け跡ぐらいは付きますが...実際どうなんでしょうか?」と聞かれ、すぐに実験してみようと思いました。

ーー線香が原因となる火事はよくあるのでしょうか。

阪本:当地方では1件だけ聞いたことがありますが、かなり稀な印象です。線香よりは仏壇の火災はロウソクの方が多い印象です。

ーー火事に対して仏壇仏具業界が講じておられる対策はあるのでしょうか?

阪本:特に組合等には入っておりませんので勉強不足かもしれませんが、仏壇業界としては何かやっているというのはあまり聞いたことがないです。当店では線香の高さに対して小さすぎる香炉は使わない、香炉が小さいなら線香を折って使う様お伝えしています。万が一線香やロウソクが落ちても燃え広がらない様に机の上に敷く防炎マット、お仏壇の前に敷く大判の防炎マットをお勧めしています。

ーー今回の実験結果について。

阪本:私も1000軒以上のお仏壇、寺院を見させていただいてますし、お線香を使っているユーザーから聞いている話もあります。ある程度は想像通りでした。ですが実際試してみて、燃えやすそうなイメージの紙より化学繊維製の布団の方が危険を感じたのは想像しておらず、驚きでした。

仏壇の前に敷く導師布団は普段は避けておくと安全だと思います。本来はお寺様が来られた時に敷く物なので避けておくのが仏事的にも正しいですし、それ以外にビニールやポリエチレン等の燃えやすい物は線香の周囲からは離しておいたほうがいいですね。防炎マットを敷いておくとより安心です。また小さすぎる香炉(線香立て)は使わない、使うなら線香を半分に折るなど心がければより安心だと思います。

ーー投稿が反響を呼びました。

阪本:正直ここまで反響があったのは驚いています。「線香=危険」というイメージだけで語られがちですが、周囲に気をつければ熱量はストーブ、コンロ、タバコ、ライター等に比べ少ないです。心配するに越した事は無いですが、文字通り煙たがられ過ぎでは無いかと思いました。安全に配慮し、従来通り仏前で使用していただければと思います。

◇ ◇

東京消防庁が発表した資料によると2017年に東京都下で線香が原因で発生した火災は6件。たばこの691件、ガステーブルの360件等に比べると圧倒的に少ない。阪本さんが言うように安全には重々配慮するべきだが、過度に恐れる必要はないのではないだろうか。

なお阪本さんは現在、線香を安全に使用でき、地震の際も線香が飛び上がったりしない安全な香炉を開発しており、特許出願中だという。今後も線香やロウソクの安全性について情報発信していくそうなので、関心のある方はぜひXアカウントをフォローしていただきたい。

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株式会社阪本 会社概要
公式ホームページ:https://pokuchan.com
阪本琢磨さんXアカウント:https://twitter.com/Mark_Keiei
所在地:和歌山県御坊市湯川町丸山477-5
電話番号 0738-23-3511

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