ガブガブ噛んでくるから「カムちゃん」と名付けられた猫 お家に慣れても独立主義「私が甘えたい時だけ、あなたにも甘えさせてあげる」

渡辺 陽 渡辺 陽

カムちゃん(2歳半・メス)は、2021年の夏、大阪刑務所の敷地隣接部分の民家にいたところを保護された。保護したのは、大阪で個人で保護活動をしているwinさんだった。

「後ろ脚がずるむけで出血してる子猫がいると報告を受け、ボランティアと向かいました。民家の軒に居ましたが捕獲器に何時間経っても入らないので、最後はそーっと近づいて手掴みで捕獲しました」

その時、カムちゃんは生後6カ月は超えている猫で、もう結構な大きさだった。winさんは、手をガブガブ噛まれたが、噛まれたまま捕獲器の中に手ごと突っ込んで捕獲をしたという。

「なぜ後ろ脚がそうなったのかは時間が経過しててわからず、栄養状態も悪く、獣医に診せてもすぐには断脚できないと言われました。1カ月ほどかけて湿潤療法をして、栄養化の高いものを食べさせてからオペに踏み切りました」

噛み付くからカムちゃんと名付けたが、手術が終わった時に獣医から「HAPPYをcome」という意味合いのカムにしたら?と笑いながら言われて、カムちゃんになったという。

後にカムちゃんの里親になった大阪府在住のHさんは、winさんを噛んで大激怒しているカムちゃんをインスタで見て挙手した。winさんは「ガブガブ噛んでいる猫を見て挙手するって『正気かしら?』と、Hさんに尋ねたことを今でも忘れません。名前の意味合いを変えて、痛かった脚がなくなってからカムは性格が変わりました」と話している。 

気分次第のカムちゃん

コロナの影響等でHさんの引っ越しが延びたこともあり、断脚手術から約1年後、1歳半の時にHさんはカムちゃんを迎えた。

「偶然捕獲時のインスタライブを観ていて、 素手で、ガブガブと噛み付かれながらも捕獲しているwinさんのパワフルさと、必死で抵抗するカムの両方に一目惚れしたと言ってもおかしくないくらい惹きつけられました。その後、インスタライブで治療を受けているカムを見ていた時に、ポロリと『引っ越ししたらお迎えしたいなぁ』とコメントで呟きました。それがきっかけでカムを迎えることになりました。」

Hさん宅に来たカムちゃん。3段型のケージに入れたが、 一番下の猫トイレに籠城したまま動かなかった。数日はご飯も食べずに籠りっきりだった。

その後だんだんなれてきたカムちゃんだが、「独立主義というか、自分の気分に忠実で、『私が甘えたい時だけあなたにも甘えさせてあげるわ』という感じです。でも、夏の終わり頃のある朝、 いきなり足元に来て転がり撫でろ愛でろと要求!今までそんなことは一切無く、 機嫌が良い時だけ短時間撫でるのはOKという感じだったのでビックリしました」

Hさんは、全身マッサージをするように「撫でさせていただき」、「これからはずっと甘々生活」と期待した。しかし、気分次第のカムちゃん。その後も気に入らない時に手を出すとパンチを喰らわせ、触るなオーラ全開だという。

「お給仕とお掃除の使用人が朝イチのマッサージ役も任命された感じです」

カムちゃんは食べることが大好きで、いつもクールな目の色が変わる。かと言ってオヤツ欲しさに甘えて来るとかオネダリはして来ない。

「愛おしい存在が常にいてくれる幸福感が常にある感じです。私には息子が二人いますが、上の子(19歳学生) は、すごく動物が好きというタイプではないので、『あぁ、いるんだなぁ、 ふーん猫ってこうなんだ』と、あまり気にしてない共生です。下の子(15歳中学生)は引っ越しして念願の動物が飼えたので嬉しそうにかまいにいきます。それぞれにそれぞれの幸福感が増えた感じです」

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