声帯を切られたチワワ 体には病気放置の痕跡 人間を怖がるあなたが尻尾を振って甘えてくれた

松田 義人 松田 義人

2023年11月、推定年齢6〜7歳ほどのメスのチワワが茨城県の動物愛護センターに収容されました。爪が伸びきっており歯もボロボロ。身体も悪臭を放っていたことから、飼い主からちゃんと世話してもらえていなかったのではないかと推測されます。

腹部には乳腺腫瘍が複数見られました。そのうちのひとつは大きくなっており、気にかけていれば異変に気付くはずです。放置されていたことを思うと、胸が痛くなります。

自家繁殖などが行われていた可能性

このワンコを引き取ったのが犬保護団体・restartdog LIEN(以下、リアン)です。「ぷっちょ」というかわいい名前をつけ、すぐに動物病院へ向かいました。

獣医師さんによれば、避妊手術をしておらず複数回の出産経験がありそうとのこと。さらに声帯を切られていました。ぷっちょの保護当初の経緯やバックボーンは明らかになっていませんが、自家繁殖などが行われていた可能性が考えられました。

身勝手な人間から世話されてこなかったぷっちょ。まずは避妊手術、乳腺腫瘍の摘出手術を獣医師さんにお願いし、術後は幸せな犬生へと繋あげることをぷっちょに誓いました。

散歩にも連れていってもらえていなかった

まともな世話をしてもらえずに育ったワンコは、人間に不信感や警戒心を抱くことがほとんどです。年齢的にも飼い主と過ごした時間が長かったであろうぷっちょが人間への不信感を募らせていても不思議ではないです。

そのためか、術後、リアン提携の預かりボランティアさんの家に来たぷっちょも、とにかく人間が怖くて仕方ないようで家の中で引きこもってばかりの日々をおくっていました。散歩にも満足に連れて行ってもらったことがないようで、首輪やリードをつけようとするとパニックになり、外に出てからも怖くて一歩も歩けなくともありました。さらに、おやつをあげようとも関心すら示さず、おそらくはおやつさえも貰ったことがないように見受けられました。

長い間、飼い主をただただ恐れ、家の中で閉じこもり「助けて」とも言えない日々を過ごしていたぷっちょの気持ちを考えると、またも胸が張り裂けそうになるスタッフでした。

たっぷりの愛情を受け、尻尾を振ってくれるように

こういった経緯から預かりボランティアさんは、「ぷっちょに心を開いてもらうには、時間がかかるかもしれない」と考えていました。しかし、預かりボランティアさんのたっぷりの愛情を受けるうちに「自分を出して良いんだ」「自由に過ごしても怒られないんだ」とわかったのか、やがて心を開いてくれるようになり、預かりボランティアさんの姿を見ると、うれしそうに尻尾を振って喜んでくれるようになりました。

 

こういった日々の中で、ぷっちょはさらにリラックスしてくれるようになり、初めての人の前でもうれしそうにあいさつしてくれるようにもなりました。声帯が切られていますが、完全に声が出ないわけではなく、独特のハスキーな声で甘えてきてくれるようにもなりました。預かりボランティアさんは「過去に経験した恐怖を乗り越えたぷっちょは本当に強くてかわいい子」として、思いっきりなでてあげました。

身勝手な人間のせいで閉ざしてしまった心を再び開いてくれたぷっちょ。さらにいっぱい甘えさせてくれる里親さんとのマッチングが、1日も早く実現することを願うばかりです。

犬保護団体・restartdog LIEN
https://profile.ameba.jp/ameba/liendog/
LIENインスタグラム
https://www.instagram.com/restartdoglien/

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