「すでに10数人お断りしてる」里親サイトで見つけた元保護犬との電撃的な出会いに感動 「巡りあうべくして巡りあった赤く強いご縁」

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「つるちゃんを里親サイトで見つけて問い合わせたら『既に10数人お断りしてる』と言われたので駄目かと思ったら『明後日連れていきます』と言われ大慌て。で、きっとトライアルで厳しく審査されてどうせ私なんか失格だろうと覚悟してたのにトライアルなかった」

元保護犬との電撃的な出会いをつぶやいた投稿がX(旧Twitter)で話題です。

投稿したのは、飼い主の七さん(@tsurutsuru710)。元保護犬のつるちゃん(雌・3歳)を、3年ほど前におうちにお迎えしました。当時ある「里親募集サイト」でつるちゃんを見つけ保護団体に問い合わせところ、即決。「明後日連れていきます」と言われ、電撃的な出会いだったといいます。

初対面で即譲渡というスピード感に驚いた飼い主

「あの時、既に10数人お断りしていると言われたので、無理かと思っていました」と七さん。さらに「長く活動しているちゃんとした団体さんで通常はトライアルがあったようですが、初対面で即譲渡というスピード感に驚きました。おそらく私たち家族がつるをお迎えしたい強い思いと終生飼育への覚悟・責任などをつづった自己PR文を読んでいただいて、気持ちが伝わったのかなと思います」と振り返ります。

そんなエピソードとともに投稿された笑顔のつるちゃんの写真には「巡りあうべくして巡りあった赤く強く素晴らしいご縁ですね」「飼い主さんをしっかり見てるお顔は幸せそう」「これからも健やかにお幸せに!」と感激する人たちからたくさんのコメントが寄せられています。

多くの人たちを笑顔でほっこりさせたつるちゃん。どんなワンちゃんに成長したのでしょう? 保護された経緯や飼い主さんのおうちにお迎えされた時のことなども含め、七さんに聞いてみました。

元保護犬は、牛舎で飼育されていた母犬が産んだ子犬だった

――生後2カ月の時にお迎えしたというつるちゃん。保護された時のことを教えてください。

「つるは牛舎で飼育されていた母犬が産んだ子犬の中の1匹で、保護団体に行政から連絡が入り保護に至ったと聞きました。これまでも毎シーズン生まれては山に捨てたり川に流したりということを繰り返していたとのことなので、たまたま見つかり保護されて縁がつながったのだと思います。母犬は保護団体が飼い主への指導と避妊手術を行ったそうです」

――当時はどんなワンちゃんだった?

「保護主さんの話では、保護当初からつるはすごく慎重な性格で、何をするにも兄弟犬の様子をよく観察して安全を確認してから自分も行動するような子犬だったそうです。今でも散歩の時は曲がり角の向こうから音が聞こえたらそれが何か、安全なものか確認するまで足を止めて観察します」

――つるちゃんをおうちにお迎えしようと思ったのは。

「我が家は2017年頃から20年2月まで先代犬2匹の介護をしていたんです。17歳、18歳で老衰で看取り、『犬を飼う』ということはかわいい楽しいばかりではなく24時間体制の介護や莫大な医療費、緊急時の冷静な判断・対応など飼い主の責任はものすごく大きいものだと知りました。今から長ければ20年以上先に先代と同じだけの世話ができるだろうかと考えると、もう犬は飼えないかな…と諦めかけていましたが、やっぱりどうしてももう一度犬と暮らしたいという気持ちが日に日に強くなり、特別好きな犬種はなかったので雑種の保護犬を探してみようと里親サイトを開いたのがきっかけです。

また子どもたちに子犬を育てる経験をさせたかったことや、ずっと雌犬しか飼ったことがなかったので『女の子の子犬』という条件で検索して出てきたのがつるでした」

先代犬2匹を介護の末、老衰で看取った経験があった飼い主 「終生飼育」を約束

――里親サイトを通じて即譲渡となりましたが。

「保護犬の譲渡は『終生飼育』が何よりの条件なので、先代犬2匹を介護の末に老衰で看取った経験をお伝えしたことが一番大きかったのかなと思います。ただ以前譲渡した方が『犬が鳥かごを落として鳥がけがをした』という苦情を言ってきたことがあったことから、条件の中に『小動物を飼育している方はNG』とありました。我が家は鳥も飼っているのでその旨はあらかじめ正直にお伝えしましたが、特に問題はなかったようです。

我が家はつるをトライアルもなくかなりスムーズに迎えることができましたが、保護犬猫のお見合いやトライアルは譲渡の際、本来は必要なものです。もう二度と辛い目に遭わないように責任を持って終生飼育が出来るかどうかを見極める大切な期間ですから。トライアルがなかったから良いということではなく、我が家にとって運命的な出会いのエピソードとして受け取っていただければ幸いです」

――七さんたち家族に決まるまで、保護団体は10数人も断ったとか。

「はい。保護団体さんの話では、未成年や60歳以上の方、単身の方への子犬の譲渡は不可としているのに、条件の合わない未成年や高齢者が多く応募してきたと聞きました」

元保護犬、お手もおすわりもすぐ覚えた賢い子 穏やかな成犬に!

――つるちゃんをおうちにお迎えした時のことをお聞かせください。

「つるを家に届けていただき、床に下りて歩いた瞬間、カチカチと爪の音が聞こえました。その瞬間、犬ー!!!と感動したことを今でも覚えています。つるを迎える半年前まで20年近くずっと聞いていた犬の爪の音がまた聞こえて思わず泣きそうに…。私こんなに犬を求めていたんだなとあらためて思いましたね。

つるはそんな私を尻目にすぐに家に馴染み、お手もおすわりもすぐに覚えて。特別な芸は積極的には教えていませんが、つるが人間社会で生活する上で困らないように小さい頃かいろいろ教えました。ただ生後半年~1歳頃までは甘がみが激しく私の腕は傷だらけ。叱ったり抑圧するようなしつけはしないと決めていたので、手にも足にもパペットをはめて好きなだけかませていたらそのうち落ち着きました」

――どんなワンちゃんに成長した?

「今はとても穏やかな成犬です。中におやつを隠して遊ぶおもちゃが好きですが、そのおもちゃにも好みがあり気に入らないと『ごはん』と指図するようになりました(笑)。また人がたくさんいる場所が苦手なので、週末はいつも車で人気のない自然豊かな場所にお出かけしています」

――これから、つるちゃんとどう過ごしてきたい?

「つるにはこれからも健康で毎日楽しく犬らしく、嫌なことが出来るだけない日々を過ごしてほしいと願うばかりです。そのために私ができることは何だろう?といつも模索しています」

七さんのおうちには、つるちゃんをはじめ、後ろ足が不自由で少し介助が必要な猫とらじくん(8歳)、夜道で「拾ってー!」と追いかけてきたところを保護したという猫テツ子ちゃん(7歳)、セキセイインコのヘチマちゃん(7歳)、ママ友から道に亀が落ちてる!と連絡が来て保護したというクサガメのカメじくんの5匹の小さな”家族”がいるそうです。

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