住宅を探すとき、選択肢は様々あります。マンションなのか、一戸建てなのか。人それぞれライフスタイルに合わせて選択していくものです。また、中古より新築の方が安心というイメージから、新築にこだわる方も少なくありません。しかし、新築だからといって、本当に安心できるかどうかは分かりません。
建売の戸建てが現実的な選択肢
Nさん(20代女性、関東在住、郵便局勤務)は夫(20代、美容メーカー勤務)との二人暮らしです。現在は賃貸アパートに住んでいますが、将来は戸建てに住みたいと思っていました。というのも、現在のアパートは上の階の住人の音がうるさく、日々ストレスを感じていたためでした。マンションを購入して、同じような近所トラブルに巻き込まれたら大変そうです。また、将来子どもができたら、自分たちが子どもの足音などで迷惑をかける側になるかもしれません。そういった心配が少ないため、夫も戸建てに住むことに賛成でした。
しかし、今の夫婦の経済力から考えて、土地から購入して注文住宅を建てるのは、現実的ではありませんでした、建売の戸建てを探すことにしました。
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早速始めた家探し。夫婦ともに立地などにはあまりこだわりがなかったので、住宅の内装のデザインや、収納の多さを重視して探しました。
そんな中で、見た一つの物件が、収納も充実しており、内装のデザイン面もとても温かみがある雰囲気になっていました。
その物件を見る前にすでに10件以上の物件を内覧しており、これ以上探しても「今回の物件より良いものは見つからないかもしれない」とも思い、思い切って購入することに決めました。
ずさんな内装工事 修繕を頼んだら…
住んでみて気づいたことがあります。それは、「内装工事がずさん」だったということです。よく見てみると、扉が傾いていたり、フローリングの長さがまちまちだったり、一部が浮いていたり、壁紙の縁の処理ができていなかったり…。見つけ出したらきりがありませんでした。
「そういった問題は報告してくれたら修繕する」と契約の際に聞いていたので、苦情を言って修繕をしてもらいました。しかし、その修繕のため、こんどは悩まされるようになりました。毎週末の休日のたび、修繕の業者がやって来るようになったのです。
入れ代わり立ち代わり業者がやって来ては、少しずつ修繕していくのですが、休みの日にまったく落ち着きません。しかも外出などの予定を入れることもできません。全部まとめて一気に直せないかとも頼みましたが、「頼んでいる業者がそれぞれ違うので難しい」と言われてしまいました。
そんなことが1年近く続き、あまりにも苦痛になってしまったNさん。もっと直してほしいところはあったのですが、「もう適当でいいや」と、修繕を途中で終わらせてしまいました。
ただ、その判断が良かったのかどうか今もNさんは悩んでいるといいます。「何年か経って、もっとしっかり直しておけばよかったと思う日が来るかもしれません」と、複雑な思いです。
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このようなトラブルはよくある事なのでしょうか?アルファホーム名古屋株式会社でマンションコーディネーターとして、不動産仲介も担当している川本麻登さんに聞きました。
工事をしている側が悪いので、遠慮なく相談を
ーー新築なのにこのような事は起きるのでしょうか?
本当は起きてはいけないのですが、残念ながらあります。販売している不動産の担当者は完成された物件を売っているだけということが多いので、ずさんな工事などの気づかないこともあります。いざ住んでから、問題点が発覚するということは良くあります。
もちろん、販売側に修繕をする義務はあるので、Nさんのようにクレームを入れて対処してもらうようにしましょう。
ーーNさんは1年たっても修繕が終わり切らず、途中でやめてしまったようです。
問題の箇所によって、頼む業者が変わるのは事実ですが、そこまで時間をかけることは良くないですね。そういう時は、自分の休みを確保するためにも毎週一部分のために業者に頼んでもらうのではなく、1日に予定を全て詰め込んでもらう段取りを組んでもらうよう伝えましょう。そういった工事をしている側が悪いので、そこは遠慮なく相談してもいいと思います。
◆川本麻登(かわもと・あさと)アルファホーム名古屋株式会社 マンションコーディネーター
https://alphahomenagoya.jp/