一戸建てをマイホームにしている方なら気になるリフォームや修繕のタイミング。みんないつ頃本格的なリフォームをするんだろう?と気になる方も多いのではないでしょうか。
国土交通省では建物のリフォームについての調査を定期的に実施しています。それによると、2023(令和5)年第1四半期のリフォーム発注件数で最も多いのは「1991~2000年」に建築された建物でした。つまり、23年前~33年前に建てられた建物が、今リフォームのピークになっているということです(※)。
しかし、初めての本格的なリフォームで、予想外のショックな経験をする人も少なくありません。「築25年のマイホーム」の全面リフォームを決意したAさんもその一人です。
「年30万円くらい積み立てて」工務店さんの教えを守ってきたのに
Aさん(関東在住、50代、主婦)夫婦が今住んでいる戸建てを購入したのは25年前のこと、これまでトラブルもなく住み続けてきましたが、さすがに見えない屋根や床下の状況が気になり、水回りやキッチンの古さも目に付くようになったことで、全面リフォームを決意しました。
実はAさん、新築購入時に工務店さんに言われた「戸建てだと自分で修繕計画たてないといけませんから、年に30万円くらいは将来のリフォームのために積み立てておくのがいいですよ、必要な時それが貯まっている金額くらいでリフォームできますからね」というアドバイスを忠実に実行し、800万円のリフォーム予算を確保していました。
リフォームを決めたら、気になるところが次々と出てきたAさん一家。「予算は言われたとおりに用意したし、耐震基準はクリアしていて躯体は問題ないはずだし、これを機に一気に室内をきれいにしたいなあ」とリフォームしたいところをどんどんピックアップしたそうです。
「フローリングの色、実は気に入っていなかったし、正直傷んでいるところもあるから貼り換えたい」
「畳も壁紙も日焼けしているから全部かえよう」
「システムキッチンもお風呂も洗面台もリフォームするよね?」
「姉妹ふたりで使っている子ども部屋、狭くていいから二つに仕切りで分けたい!」
「この際だから、雑草が生えてヒビが入っている駐車場のコンクリートも直してもらったらどうかな」
家族全員から、次々に要望が出てたそうです。
屋根や壁、電気系統の修繕予算でほとんど使い切ってしまって…
しかし、残念ながらリフォームはAさん一家の予定通りにはいきませんでした。
建築から25年、ほとんど問題を感じなかったはずのAさん家ですが、スレート瓦の屋根材はすでに退色が発生していて、塗膜の劣化が進んでいました。それだけでなく、カビや苔がところどころ生えていて、防水効果もなくなっている状態。安価な塗装工事ではなく、スレート瓦をふき替えることに。しかも屋根が急こう配のため、費用がプラスでかかってしまいました。
さらに、全く気がついていなかったのが外壁のチョーキング(触ったときに手に白い粉がつくこと)。よく見ると窓のサッシ部分から細いヒビが入っていて、外壁も補修が必要になってしまったそうです。
そしてそのタイミングで給湯器と後から追加した太陽光発電システムが故障、入れ替えることになり、この4つのリフォームだけで予算の800万円はすべて使い切ることになってしまったAさん一家。
「800万あれば、キッチンもトイレも内装も全部新しくできると思っていたのできませんでした。結局直したのは見えないところだけ。友人を呼んでも『え?リフォームしたって言ってなかった?』って気がついてもらえない始末です。こんなことなら、もっと小まめにやっておくか、もっと貯金をしておけばよかった……」とAさんは次のリフォームに備えて一層貯金に励んでいるそうです。
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(※)参考:国土交通省|建築物リフォーム・リニューアル調査報告(概要) (令和5年度第1四半期受注分)
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001628870.pdf