「収入の低い母子家庭や非正規雇用の人たちを支援したい」という熱い思いから3年前に誕生した「カルノリレンタカー」(大阪市旭区)は支援の輪が広がり、いまや、全国展開に。長期のレンタカーは1日800円~という安さで、創業当時から変わらず。代表取締役の勇翔太さんに誕生秘話と、驚きの安さの秘訣を聞いてみた。
車のローン組めない人たちのために設立を決意
人によっては仕事や生活に欠かせない存在となっている車。しかし、母子家庭や所得の低い非正規雇用の人には車を所有するのは至難の業のようで、ローン審査に落ちてしまうことも多々あるとか。ましてや、生活保護者となれば、車の保有は資産になってしまうため難しい。
勇社長は引越業もやっていて「母子家庭や所得の低い人たちの引越を手伝う中で、車一つ買うにも借りるにも大変だというのを目の当たりにしてきました」と言う。
実は勇社長自身が児童施設出身。「僕自身も大変さを知っています」。そんな勇社長だけに「困っている人は応援したい」という思いが人一倍あり、損得抜きでコロナ禍の2020年10月にレンタカー事業を大阪市内でスタートさせたのだ。
「コロナ禍なので、より大変になった人が多く、見過ごすことはできなかった」
カルノリレンタカーが格安で提供できる3つの理由とは?
安価にするために、まず、力を入れたのは「ウィークリー」や「マンスリー」など長時間利用したい人を顧客ターゲットに。そして、他社との違いを明確化した。
その1つが「軽自動車中心のレンタル」だ。通常、レンタカーといえば様々なクラスの車を揃えていることが多いが、ここでは「軽自動車」がメインとなっている。
2つ目は「中古車をレンタカーで利用」すること。9~15年前の型落ちの軽自動車を多く仕入れることによって、格安で提供することを実現しているのだ。
「もちろん、中古車といっても法定点検を徹底し、しっかりと整備されているので安全性についても問題ありません」と勇社長。聞けば、大手レンタカーの場合は新車を購入して貸出を行っているので、どうしてもその分レンタル料金が高くなってしまいがちだそうだ。
最後の3つ目は「予約時は車種選定ではなくクラス別の予約」にしたこと。予約時に車種選定ではなく、クラス別で予約を受け付けているという。なぜならば「空車在庫を常にフル回転させて在庫ロスを避けることも格安で提供できる1つの理由です」。
もし、カルノリレンタカーにおいて1カ月マンスリーで借りたとすれば、一番安価な車では保険料込みで1カ月2万4000円(税別)。1日に換算すれば800円(税別)とまさに企業努力のたまものなのだ。
輪が広がり、今や全国展開…社会貢献活動にも尽力
そんな「カルノリレンタカー」の考え方に賛同する仲間が増え、この3年間で北海道から沖縄まで17店舗まで増えた。勇社長も「私たちの趣旨に賛同していただいて、全国的に広がりをみせているのはうれしい限りです」と話す。
店が増えるたびに口コミ数も増えていき「1店舗あたり口コミ数は平均300ぐらい。励ましのコメントが多く、日本一いい口コミ数めざして、きょうもがんばっています」。
夢はFC(フランチャイズ)も含めて「関東、中部地方、九州など、いまないエリア含めて、47都道府県すべてにカルノリレンタカーをオープンさせることです。目指す店舗数は100」。そのためにも「お客様に寄り沿ったレンタカーを目指し、サービスはもとより、対応力やスピード感でも満足していただけるようにしたいと思います」と意気込んでいる。
経営も重要だが、社会貢献活動にも力を入れたいという。実際、沖縄・恩納村で赤字のホテル再建への取り組みをSNSで発信してバズったホテル経営経験ゼロのインフルエンサーの「ど素人」さんを支援するため、レンタカーを現在、無償で貸与しているという。
来る2024年も目が離せそうにないカルノリレンタカー。思いやりと企業努力でますます躍進してくれるに違いない。
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▽「カルノリレンタカー」
https://karunori-car.com/